7.72026
宅建業とは?免許が必要な取引・不要なケースをわかりやすく解説

はじめに
「不動産会社を開業したいけれど、宅建業免許は必要なのでしょうか?」
「自分が始めようとしている事業は、宅建業に該当するのでしょうか?」
不動産に関係する事業を検討している方から、このようなご相談をいただくことがあります。
土地や建物に関係する仕事が、すべて宅建業に該当するわけではありません。
一方、自分が所有する不動産の取引であっても、取引の内容や方法によっては宅建業免許が必要になることがあります。
宅建業に該当する事業を無免許で行うことは、宅建業法に違反します。
そのため、事業を始める前に、
- どのような不動産を扱うのか
- 売買・賃貸・管理のどれを行うのか
- 自ら当事者になるのか
- 他人の取引を仲介するのか
- 継続的に事業として行うのか
を整理することが重要です。
この記事では、宅建業の基本的な仕組みと、免許が必要・不要となる主なケースを解説します。
1.宅建業とは
宅建業とは、正式には「宅地建物取引業」といい、宅地または建物について、一定の取引を業として行うことをいいます。
宅建業法は、不動産取引を公正に行い、購入者や借主などの利益を保護することを目的としています。
宅地や建物は一般の商品と比べて金額が大きく、権利関係や法令上の制限も複雑です。
そこで、宅建業を営む者について免許制度を設け、事務所、専任宅建士、営業保証金、重要事項説明などのルールを定めています。
2.宅建業に該当する取引
宅建業に該当するかは、「自ら取引する場合」と「他人の取引を代理・媒介する場合」に分けると理解しやすくなります。
| 取引の内容 | 自ら当事者として行う | 他人の取引を代理・媒介する |
|---|---|---|
| 売買 | 宅建業に該当する | 宅建業に該当する |
| 交換 | 宅建業に該当する | 宅建業に該当する |
| 賃貸 | 宅建業に該当しない | 宅建業に該当する |
これらの取引を「業として行う」場合に、宅建業免許が必要になります。
自ら所有する不動産を売却する場合
自分や自社が所有する土地・建物であっても、反復継続して販売する場合には宅建業に該当する可能性があります。
例えば、土地を仕入れて区画分けし、複数の購入者へ分譲する場合や、建売住宅を継続して販売する場合です。
他人の売買・賃貸を仲介する場合
売主と買主、貸主と借主の間に入り、契約成立に向けてあっせん・調整する行為は「媒介」に該当します。
一般に「不動産仲介」と呼ばれる業務です。
売買の仲介だけでなく、賃貸住宅や事務所の賃貸借を仲介する場合も、宅建業免許が必要です。
他人の取引を代理する場合
不動産所有者等から代理権を受け、本人に代わって売買・交換・賃貸借の契約を行う場合も、宅建業に該当します。
3.「宅地」にはどのような土地が含まれる?
宅建業法上の「宅地」は、登記上の地目が「宅地」となっている土地だけではありません。
現に建物の敷地として使用されている土地のほか、建物の敷地として取引される土地も含まれます。
したがって、登記上の地目や現在の利用状況が、
- 田
- 畑
- 雑種地
- 山林
などであっても、建物を建てることを目的として取引される場合には、宅建業法上の宅地に該当する可能性があります。
登記上の地目だけで、宅建業免許の要否を判断することはできません。
4.「業として行う」とは
宅建業免許が必要となるのは、対象となる取引を「業として行う」場合です。
「業として行う」とは、宅地・建物の取引を、社会通念上、事業の遂行とみることができる程度に行うことをいいます。
単に取引回数だけで決まるものではありません。
行政実務では、一般的に次の要素を総合して判断します。
取引の相手方
広く一般の人を対象として購入者を募集する場合は、事業性が高いと判断されやすくなります。
一方、親族間や隣接する土地所有者との取引など、特定の関係者との取引は、事業性が比較的低いと考えられます。
取引の目的
転売利益を得ることを目的とする場合は、事業性が高いと判断されやすくなります。
一方、相続税の納税資金を確保するための売却や、住み替えに伴う自宅の処分などは、事業性が比較的低いと考えられます。
不動産を取得した経緯
転売するために取得した不動産の売却は、事業性が高いと判断されやすくなります。
相続によって取得した不動産や、自宅・事業所・工場・社宅など、自ら使用するために取得した不動産の売却は、事業性が比較的低いと考えられます。
販売の方法
所有者が自ら広告を行い、広く一般の購入者を募集して販売する場合は、事業性が高いと判断されやすくなります。
宅建業者へ代理・媒介を依頼して売却する場合は、比較すると事業性が低いと考えられます。
ただし、宅建業者へ仲介を依頼すれば、必ず免許が不要になるわけではありません。
反復継続性
継続して複数回の取引を行う場合は、事業性が高いと判断されます。
現在の取引回数だけでなく、過去の取引実績や今後の販売予定も含めて判断されます。
また、一度の販売計画であっても、土地を複数に区画分けしてそれぞれ別の購入者へ販売する場合には、反復継続的な取引と判断される可能性があります。
5.宅建業免許が必要となる主なケース
次のような事業を行う場合には、一般的に宅建業免許が必要です。
不動産売買の仲介
土地、戸建住宅、マンションなどについて、売主と買主の間に入り、売買契約の成立を仲介する場合です。
不動産賃貸の仲介
アパート、マンション、店舗、事務所などについて、貸主と借主の間に入り、賃貸借契約の成立を仲介する場合です。
建売住宅や分譲マンションの販売
土地を仕入れて住宅を建築し、継続して販売する場合や、分譲マンションを販売する場合です。
自社所有物件の販売であっても宅建業に該当します。
土地を分割して複数の購入者へ販売する場合
相続した土地などを複数に区画分けし、それぞれ別の購入者へ販売する場合には、一つの土地の処分であっても反復継続性が認められる可能性があります。
不動産を仕入れて転売する事業
土地や中古住宅を仕入れ、改修・造成等を行って転売する事業は、一般的に宅建業免許が必要です。
6.宅建業免許が原則として不要なケース
不動産に関係する事業であっても、次のような場合には、原則として宅建業免許は不要です。
自己所有物件を賃貸する場合
自分や自社が所有するアパート、マンション、店舗、事務所などを、貸主として賃貸する行為は宅建業に含まれません。
複数の自己所有物件を継続して賃貸する場合でも、自ら貸主となって賃貸するだけであれば、宅建業免許は原則として不要です。
ただし、入居者を探すために他人の賃貸借を仲介する場合は別です。
自宅などを一度だけ売却する場合
住み替えに伴う自宅の売却や、相続した不動産を一度だけ処分する場合は、通常、事業として行う取引には該当しません。
ただし、複数に区画分けして販売する場合や、過去にも同様の売却を繰り返している場合などは、免許が必要となる可能性があります。
不動産管理業務だけを行う場合
賃貸住宅について、
- 建物の維持管理
- 家賃の集金
- 契約更新
- 入居者からの問い合わせ対応
- 退去手続き
- 修繕手配
などの管理業務だけを行う場合には、原則として宅建業には該当しません。
ただし、管理業務に加えて入居者募集や賃貸借契約の仲介を行う場合には、その仲介部分について宅建業免許が必要です。
また、他人から委託を受けて管理する賃貸住宅が200戸以上となる場合には、原則として賃貸住宅管理業の登録が必要です。
建築工事だけを請け負う場合
建物の建築請負工事だけを行う場合は、宅建業には該当しません。
ただし、建築条件付き土地を自ら売却する場合には、土地の売買部分について宅建業免許が必要になります。
建築工事については、工事の内容や金額により建設業許可が必要になる場合があります。
7.サブリースには宅建業免許が必要?
不動産所有者から建物を一括して借り上げ、事業者が貸主となって入居者へ転貸するサブリースは、自ら貸主として行う賃貸に当たるため、その行為だけであれば原則として宅建業には該当しません。
ただし、サブリース事業については、賃貸住宅管理業法に基づき、
- 誇大広告等の禁止
- 不当な勧誘の禁止
- 契約締結前の重要事項説明
- 契約書面の交付
などの規制を受ける場合があります。
また、サブリースとは別に、貸主と入居者の間の賃貸借契約を仲介する場合には、宅建業免許が必要です。
事業の一部だけを見て判断せず、契約関係全体を確認する必要があります。
8.不動産コンサルティングや「紹介だけ」なら免許不要?
不動産に関する一般的な相談、調査、情報提供のみを行う場合は、直ちに宅建業へ該当するとは限りません。
しかし、「コンサルティング料」「紹介料」などの名称で報酬を受け取っていても、実際には、
- 売主と買主を引き合わせる
- 貸主と借主を引き合わせる
- 売買・賃貸条件を調整する
- 契約成立に向けて交渉を行う
- 契約書作成や契約日程を取りまとめる
- 成約時に報酬を受け取る
といった業務を行っている場合には、実質的に代理または媒介と判断される可能性があります。
「仲介手数料ではなく紹介料だから免許は不要」ということにはなりません。
業務の名称ではなく、実際にどのような行為を行っているかによって判断されます。
9.免許が必要か迷いやすいケース
次のような事業を検討している場合には、免許の要否を事前に確認することをおすすめします。
- 相続した土地を複数に分割して売却する
- 中古住宅を仕入れてリフォーム後に販売する
- 不動産投資家へ物件を紹介して報酬を受け取る
- 空き家の所有者と購入希望者を引き合わせる
- 不動産コンサルティングと契約交渉を一体で行う
- サブリースと入居者仲介を同時に行う
- 自社所有地を継続して販売する
- 複数の関係会社間で不動産取引を行う
「一度だけだから」「自社物件だから」「紹介料だから」という理由だけで免許不要と判断することは危険です。
取引の対象者、目的、取得経緯、販売方法、過去・将来の取引予定を含めて確認する必要があります。
10.無免許で宅建業を行うリスク
宅建業を営むには、国土交通大臣または都道府県知事の免許が必要です。
免許を受けずに宅建業を営むと、宅建業法上の無免許営業となります。
無免許営業には、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。
また、無免許の状態で宅建業者である旨を表示したり、宅建業を営む目的で広告を行ったりすることも禁止されています。
実際に契約が成立する前であっても、ホームページや広告の掲載内容が問題になる可能性があります。
最終的に無免許営業に該当するかは、個別事情を踏まえて捜査機関・司法機関により判断される問題です。
行政書士や行政庁への相談は、刑事責任の有無を確定するものではありませんが、事業開始前に制度上の問題を整理するために重要です。
11.宅建業免許を取得するための主な要件
宅建業免許を取得するためには、主に次の要件を満たす必要があります。
- 宅建業の事務所要件を満たしていること
- 事務所ごとに必要人数の専任宅建士を配置していること
- 代表者・役員等が欠格要件に該当しないこと
- 法人の場合は事業目的に宅建業が記載されていること
- 申請書類・添付書類を準備すること
- 営業保証金を供託するか保証協会へ加入すること
宅建業を始めたいと考えた段階で、まず事務所と専任宅建士を確認することが重要です。
詳しくは、次の記事をご覧ください。
12.知事免許と大臣免許
宅建業免許には、都道府県知事免許と国土交通大臣免許があります。
- 1つの都道府県内だけに事務所を設置する場合:都道府県知事免許
- 2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合:国土交通大臣免許
免許区分は、物件の所在地や営業地域ではなく、宅建業の事務所を設置する都道府県の数によって決まります。
東京都知事免許でも、全国の物件を取り扱うことは可能です。
詳しくは、次の記事をご覧ください。
13.宅建業免許取得後も手続きが必要です
宅建業免許の有効期間は5年間です。
引き続き宅建業を営む場合には、期間満了前に更新申請を行わなければなりません。
また、免許取得後に、
- 商号・名称
- 代表者・役員
- 事務所
- 政令で定める使用人
- 専任宅建士
などに変更が生じた場合には、原則として変更の日から30日以内に変更届を提出する必要があります。
宅建業免許は、取得して終わりではありません。
免許取得後も、会社や事務所の現況と届出内容を一致させておく必要があります。
14.行政書士へ依頼するメリット
宅建業免許の申請では、申請書を作成する前に、事業内容と免許要件を確認する必要があります。
行政書士へ依頼することで、次のようなサポートを受けられます。
- 予定している事業が宅建業に該当するかの制度上の整理
- 知事免許・大臣免許の確認
- 事務所要件の確認
- 専任宅建士の要件確認
- 必要書類一覧の作成
- 申請書・添付書類の作成
- 行政庁への申請
- 申請後の補正対応
- 免許取得後の手続き案内
特に、事務所を契約してから要件を満たさないことが判明すると、移転や追加工事などの費用が発生する可能性があります。
事務所の契約や人員採用を確定する前に相談することをおすすめします。
宅建業免許をご検討の方へ
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「予定している事業に宅建業免許が必要かわからない」
「不動産会社を設立したいが、何から準備すればよいかわからない」
「事務所を契約する前に要件を確認したい」
という段階でも、お気軽にご相談ください。
事業内容をお伺いし、必要となる免許、事務所、専任宅建士、保証協会等の手続きを整理してご案内します。
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