7.72026
宅建業免許の取得要件とは?事務所・専任宅建士など開業前の確認事項

宅建業免許は申請前の要件確認が重要です
「宅建業免許を取得したいけれど、現在の事務所や人員で要件を満たせるのだろうか」
不動産会社の開業を検討している方にとって、宅建業免許を取得できるかどうかは重要な問題です。
宅建業免許は、申請書類を提出すれば必ず取得できるものではありません。
宅地建物取引業法に基づき、事務所、専任の宅地建物取引士、代表者や役員等の欠格要件などについて審査を受けます。
また、法人で申請する場合は、定款や登記事項証明書の目的も確認されます。免許通知後には、営業保証金の供託または保証協会への加入も必要です。
この記事では、宅建業免許の取得を検討している方に向けて、申請前に確認しておきたい主な要件と、実務上の注意点を行政書士が解説します。
宅建業免許の取得前に確認する5つの事項
宅建業免許を申請する前には、主に次の事項を確認します。
- 宅建業を継続して行える事務所があること
- 専任の宅地建物取引士を必要数設置すること
- 代表者または政令で定める使用人が事務所に常勤できること
- 申請者・役員等が欠格要件に該当しないこと
- 法人の事業目的に宅建業を行うことが示されていること
このほか、免許通知後、実際に営業を開始する前に、営業保証金の供託または保証協会への加入が必要です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.宅建業を営む事務所があること
宅建業免許を受けるためには、宅建業を継続的に行うことができる事務所が必要です。
単に会社の登記上の本店所在地があればよいわけではありません。実際にその場所で宅建業務を行える状態が求められます。
事務所については、一般的に次のような事項が確認されます。
- 継続的に使用できる場所であること
- 宅建業の業務を行うための独立性があること
- 机、椅子、電話などの業務設備があること
- 来客への対応ができること
- 申請者が事務所を使用する正当な権原を有していること
- 商号や事務所の所在を外部から確認できること
申請時には、建物の外観、建物入口、テナント表示、事務所入口、事務所内部などの写真を提出します。
自宅兼事務所の場合
自宅の一部を宅建業の事務所として使用する場合、居住部分と事務所部分が適切に区分されているかが確認されます。
例えば、事務所へ入るために居室を通らなければならない、事務所と生活空間の区分が不明確であるといった場合は、事務所として認められない可能性があります。
また、賃貸住宅の場合は、賃貸借契約や管理規約上、事業目的での使用が認められているかも確認が必要です。
レンタルオフィス・シェアオフィスの場合
レンタルオフィスであっても、独立した個室があり、継続的に業務を行える状態であれば、事務所として認められる可能性があります。
一方、次のような形態では、事務所要件を満たさないことがあります。
- 住所や郵便物の受取場所だけを借りるバーチャルオフィス
- 業務を行う専用スペースがない
- 複数の事業者が同じ机や電話を共用している
- 個室ではなく、他の利用者との区分が不明確である
- 事務所としての継続的な使用権原を確認できない
具体的な判断は、事務所の構造や使用方法、申請先行政庁の運用によって異なります。
事務所を契約した後に要件を満たさないことが判明すると、開業時期の遅れや追加費用につながります。できる限り契約前に確認することをおすすめします。
2.専任の宅地建物取引士を設置すること
宅建業を営む各事務所には、宅建業に従事する者5人につき1人以上の割合で、成年者である専任の宅地建物取引士を設置する必要があります。
例えば、ある事務所で宅建業に従事する者が次の人数であれば、必要となる専任宅建士の人数は次のとおりです。
| 宅建業に従事する人数 | 必要な専任宅建士 |
|---|---|
| 1人から5人 | 1人以上 |
| 6人から10人 | 2人以上 |
| 11人から15人 | 3人以上 |
人数を判断する際は、役員や従業員の肩書だけでなく、実際に宅建業へ従事するかどうかを確認します。
専任宅建士に求められる専任性
専任宅建士には、一般的に次の2つの性質が求められます。
- その事務所に常勤していること
- 専らその事務所の宅建業務に従事していること
宅地建物取引士試験に合格しているだけでは足りません。有効な宅地建物取引士証の交付を受け、常勤性と専従性が認められる必要があります。
他法人の常勤役員や従業員を兼務している場合、遠距離通勤で通常の勤務が困難な場合などは、専任性が認められない可能性があります。
東京都では、通常の勤務時間に常勤性・専従性が確認できる場合、勤務時間外の副業を審査のうえ原則として認める運用が行われています。ただし、副業があれば必ず認められるという意味ではなく、勤務実態等について個別に審査されます。
申請先の自治体によって確認方法や運用が異なる可能性があるため、兼業や副業がある場合は事前確認が必要です。
専任宅建士については、次の記事で詳しく解説しています。
3.代表者または政令で定める使用人が常勤できること
宅建業を営む事務所には、契約締結などの業務について権限を持ち、事務所を代表して業務を行える者が常勤する必要があります。
法人の代表取締役がその事務所に常勤する場合は、通常、代表取締役がその役割を担います。
一方、代表取締役が他の事務所に常勤している場合や、支店で宅建業を営む場合などは、その事務所に「政令で定める使用人」を置く必要があります。
政令で定める使用人には、支店長や営業所長など、その事務所において宅建業に関する契約を締結する権限を持つ者を選任します。
名称だけを支店長や営業所長とすればよいわけではなく、実際の勤務状況や権限についても確認されます。
4.申請者や役員等が欠格要件に該当しないこと
宅建業法で定められた欠格要件に該当する場合は、宅建業免許を受けることができません。
法人の場合は、法人そのものだけでなく、次のような関係者も審査対象となります。
- 代表取締役
- 取締役
- 監査役
- 政令で定める使用人
- 相談役
- 顧問
- 一定割合以上の株式・出資を保有する者
主な欠格要件には、次のようなものがあります。
- 宅建業免許を取り消され、所定の期間が経過していない
- 一定の刑罰を受け、所定の期間が経過していない
- 宅建業に関して不正または著しく不当な行為をした
- 破産手続開始の決定を受け、復権していない
- 暴力団員等に該当する
- 心身の故障により宅建業を適正に営むための認知・判断・意思疎通を適切に行えない状態にある
犯罪歴があればすべて免許を受けられないわけではありません。刑罰の種類、対象となった法令、刑の終了時期などによって判断が異なります。
該当する可能性がある場合は、申請書を提出する前に、事実関係と関係資料を整理して行政庁または専門家へ相談することが重要です。
5.法人の場合は事業目的を確認する
法人が宅建業免許を申請する場合は、定款と登記事項証明書の事業目的を確認します。
行政実務では、事業目的から宅建業を行う法人であることを確認できることが求められます。
一般的には、次のような目的が考えられます。
- 宅地建物取引業
- 不動産の売買、交換、賃貸及びその仲介
- 不動産の売買、賃貸、管理及び仲介
ただし、実際に予定している事業内容や、申請先行政庁の取扱いによって適切な表現が異なる場合があります。
事業目的から宅建業を行うことが読み取れない場合は、申請前に株主総会等で定款を変更し、目的変更登記が必要になることがあります。
会社設立と宅建業免許申請を同時に検討している場合は、将来予定している不動産事業や許認可も含め、設立段階で事業目的を整理しておくことが重要です。
免許通知後は営業保証金または保証協会の手続きが必要です
営業保証金の供託または保証協会への加入は、申請時の免許審査要件とは異なり、主に免許通知後、営業を開始する前に行う手続きです。
免許通知を受けただけでは、直ちに営業を開始できるわけではありません。
営業保証金を供託する場合
営業保証金の額は、次のとおりです。
- 主たる事務所:1,000万円
- 従たる事務所:1事務所につき500万円
所定の供託を行った後、免許行政庁へ営業保証金供託済届出書を提出します。
保証協会へ加入する場合
保証協会へ加入する場合の弁済業務保証金分担金は、次のとおりです。
- 主たる事務所:60万円
- 従たる事務所:1事務所につき30万円
このほかに、保証協会や宅建業協会への入会金、会費などが必要です。
加入する協会、支部、入会時期等によって実際の費用や手続きが異なるため、事前に確認しましょう。
保証協会については、次の記事で詳しく解説しています。
申請前に確認したいチェックリスト
宅建業免許の申請を予定している場合は、次の項目を確認してください。
- 実際に行う事業が宅建業に該当するか
- 知事免許と大臣免許のどちらを申請するか
- 事務所として使用できる物件か
- 賃貸借契約や管理規約で事業利用が認められているか
- 他法人や居住部分からの独立性があるか
- 必要な人数の専任宅建士を確保しているか
- 専任宅建士の宅建士証が有効か
- 専任宅建士の常勤性・専従性に問題がないか
- 代表者または政令使用人が事務所に常勤できるか
- 役員等が欠格要件に該当しないか
- 法人の事業目的から宅建業を行うことを確認できるか
- 営業保証金または保証協会加入の資金を準備できるか
- 希望する開業日から逆算して準備を進めているか
一つでも判断できない項目がある場合は、事務所契約や会社設立を進める前に確認することをおすすめします。
よくあるご質問
宅建士の資格を持つ人が1人いれば免許を取得できますか?
宅建業に従事する者が5人以内であれば、原則として1人以上の専任宅建士が必要です。
ただし、資格を持っているだけでは足りません。有効な宅建士証の交付を受け、その事務所における常勤性・専従性が認められる必要があります。
代表取締役と専任宅建士を兼ねることはできますか?
代表取締役がその事務所に常勤し、専任性を確保できる場合は、専任宅建士を兼ねることができます。
他法人で常勤している、別の事務所を主な勤務場所としているなどの事情がある場合は、個別の確認が必要です。
事務所の契約後に相談しても間に合いますか?
契約後でも相談できますが、事務所要件を満たさない場合は、間取りの変更や追加工事、最悪の場合は移転が必要になる可能性があります。
可能であれば、契約前に図面、物件資料、賃貸条件などを確認することをおすすめします。
資本金が少なくても免許を取得できますか?
宅建業免許について、会社の最低資本金額を直接定めた規定はありません。
ただし、免許通知後には営業保証金の供託または保証協会への加入が必要です。会社設立費用、事務所費用、協会加入費用、営業開始後の運転資金などを含めた資金計画が必要です。
宅建業免許の要件確認から申請までサポートします
宅建業免許の取得では、申請書を作成する前の要件確認が重要です。
特に、事務所、専任宅建士、代表者または政令使用人、法人の事業目的などに問題があると、申請のやり直しや開業時期の変更につながる可能性があります。
行政書士なかじま法務事務所では、東京都を中心に、千葉県・埼玉県・神奈川県の宅建業免許申請をサポートしています。
- 免許取得要件の事前確認
- 必要書類一覧の作成
- 申請書・添付書類の作成
- お客様が撮影した事務所写真の確認
- 行政庁への申請
- 申請後の補正対応
- 免許通知後の手続き案内
会社設立前や事務所契約前の段階でもご相談いただけます。
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