お役立ちコラム
8.142026
相続手続きとは?相続が発生したら必要になる主な手続き

はじめに
ご家族が亡くなられると、預貯金や不動産などの財産だけでなく、さまざまな権利や義務を相続人が引き継ぐことになります。
そのためには、
「誰が相続人なのか」
「どのような財産があるのか」
「誰がどの財産を相続するのか」
を確認し、それぞれの財産について名義変更や解約などの手続きを進めなければなりません。
これら一連の手続きをまとめて「相続手続き」と呼びます。
相続手続きは、役所に一つの届出を出せば終わるものではありません。戸籍の収集、相続人の確認、相続財産の調査、遺産分割協議書の作成、預貯金の解約、不動産の相続登記など、財産やご家族の状況によって必要な手続きが異なります。
この記事では、相続が発生した後にどのような手続きが必要になるのか、全体像をわかりやすく解説します。
1.相続手続きとは?
「相続」とは、亡くなられた方の財産などの権利・義務を相続人が引き継ぐことをいいます。政府広報でも、相続は亡くなった方の財産などの権利・義務を残された家族などが引き継ぐことと説明されています。
相続の対象となるのは、預貯金や不動産などのプラスの財産だけではありません。
借入金などの債務があれば、それらについても確認する必要があります。
そして、実際に財産を引き継ぐためには、それぞれの財産に応じた手続きを行います。
例えば、
- 銀行口座の解約・払戻し
- 不動産の相続登記
- 自動車の名義変更
- 株式・有価証券等の名義変更
などです。
ただし、これらの名義変更を始める前に、まず相続人や相続財産を確認しておかなければなりません。
そのため、相続手続きでは、財産を分ける前の調査と、分け方が決まった後の名義変更等の両方が必要になると考えるとわかりやすいでしょう。
2.まず確認するのは「遺言書があるか」
相続が発生したら、まず確認しておきたいのが遺言書の有無です。
遺言書がある場合とない場合では、その後の手続きが大きく変わることがあります。
遺言書がある場合には、原則としてその内容を踏まえて相続手続きを進めます。政府広報でも、遺言書がある場合には原則として遺言の内容が優先されると案内されています。
一方、遺言書がなく、相続人が複数いる場合には、相続財産を誰がどのように取得するかについて、相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。
したがって、いきなり銀行口座の解約などを始めるのではなく、遺言書の有無を確認してから、その後の手続きを整理することが大切です。
3.相続人を確認する
次に必要になるのが、「誰が相続人なのか」を確認することです。
相続人を確定するためには、亡くなられた方の戸籍を収集し、婚姻、離婚、養子縁組、子の有無などを確認していきます。
普段付き合いのある家族だけを見て、
「相続人はこの3人だろう」
と判断するのではなく、戸籍によって正式に確認する必要があります。
例えば、戸籍を調べたことで、
- 前婚で子どもがいることがわかった
- 養子縁組をしていた
- すでに亡くなっている子に子どもがいた
といったことが判明する場合もあります。
相続人を正しく確認できていなければ、その後に作成する遺産分割協議書にも影響します。
当事務所では、必要な戸籍の収集から相続人の確認、相続関係説明図の作成までサポートしております。
詳しくは「相続人調査・戸籍収集とは」の記事で解説します。
4.どのような相続財産があるのかを確認する
相続人の確認とあわせて、亡くなられた方がどのような財産を所有していたのかも調べていきます。
主な相続財産としては、
- 預貯金
- 土地・建物
- 株式・投資信託等
- 自動車
- 貸付金などの債権
- 貴金属などの動産
などがあります。
一方、借入金などの債務についても確認が必要です。
特に、ご本人が財産の一覧を残していない場合には、ご家族であってもすべての財産を把握しているとは限りません。
通帳、郵便物、固定資産税関係書類、証券会社からの書類などを確認しながら、財産の内容を整理していきます。
詳しくは「相続財産調査とは」の記事で解説します。
5.相続するかどうかを判断する必要がある場合もあります
相続では、財産を必ず引き継がなければならないわけではありません。
相続人は、
- 単純承認
- 相続放棄
- 限定承認
のいずれかを選択することができます。
特に、亡くなられた方に多額の借金がある場合などには、相続放棄を検討することがあります。
相続放棄などには期限があり、原則として自分のために相続が開始したことを知った時から3か月以内に判断する必要があります。裁判所も、この期間を相続の承認・放棄の「熟慮期間」と案内しています。
そのため、財産より債務の方が多い可能性がある場合などには、財産調査を早めに進めることが重要です。
相続放棄は家庭裁判所で行う手続きですので、必要に応じて弁護士や司法書士等への相談を検討します。
6.遺産分割協議を行う
遺言書がなく、相続人が複数いる場合には、相続財産を誰がどのように取得するのかを相続人の皆様で話し合います。
これが「遺産分割協議」です。
例えば、
- 自宅は長男が相続する
- 預貯金は長女と二男が取得する
- 自動車は配偶者が取得する
など、財産ごとに取得する人を決めていきます。
そして、話し合いがまとまった場合には、その内容を遺産分割協議書として書面にします。
遺産分割協議書は、預貯金の相続手続きや不動産の相続登記など、その後の名義変更で使用する重要な書類です。
行政書士は、法的紛争段階にある案件等を除き、遺産分割協議書や相続人関係説明図などの書類作成、その前提となる調査を取り扱うことができます。
なお、行政書士が相続人同士の間に入って、遺産の取り分について交渉することはできません。
すでに相続人間で争いが生じている場合には、弁護士への相談が必要になります。
遺産分割協議書について詳しくは「遺産分割協議書とは」の記事をご覧ください。
7.財産ごとに相続手続きを行う
遺言書や遺産分割協議によって誰が財産を取得するのかが決まったら、それぞれの財産について必要な手続きを進めます。
預貯金
金融機関へ必要書類を提出し、口座の解約、払戻し、名義変更等を行います。
金融機関によって必要書類や書式が異なるため、複数の金融機関に口座がある場合には、それぞれ手続きが必要になります。
不動産
土地や建物については、法務局で相続登記を行います。
2024年4月1日から相続登記が義務化されており、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内など、法律で定められた期限があります。
相続登記は司法書士の専門分野となるため、当事務所では必要に応じて司法書士と連携します。
自動車・株式など
自動車や株式等についても、それぞれ所定の名義変更等を行います。
つまり、相続手続きは「相続」という一つの手続きではなく、相続財産の種類ごとに異なる手続きを行う必要があるということです。
8.相続税の申告が必要になる場合もあります
相続財産の額によっては、相続税の申告が必要になります。
相続税の申告が必要な場合、原則として、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内に申告・納税を行います。
すべての相続で相続税申告が必要になるわけではありませんが、
「うちは相続税がかかるのかわからない」
という場合には、早めに税理士へ確認することをおすすめします。
当事務所でも、相続税申告が必要な場合には税理士と連携して手続きを進めます。
9.相続手続きには、専門家によって担当分野が異なります
相続では、さまざまな専門家が関わることがあります。
例えば、
行政書士
- 戸籍等の収集
- 相続人調査
- 相続関係説明図の作成
- 法定相続情報一覧図作成のサポート
- 遺産分割協議書の作成
- 預貯金等の相続手続き
司法書士
- 不動産の相続登記
税理士
- 相続税の申告
- 相続税に関する税務相談
弁護士
- 相続人間に争いがある場合の交渉
- 遺産分割調停・訴訟など
というように、それぞれ役割があります。日本行政書士会連合会も、行政書士の相続業務について、法的紛争段階の事案や税務・登記申請業務を除く書類作成・調査を取り扱うとしています。
相続手続きを進める際には、必要な手続きに応じて適切な専門家へ依頼することが大切です。
10.相続手続きを行政書士へ依頼するメリット
相続手続きは、ご自身で行うこともできます。
しかし、実際には、
- 必要な戸籍がわからない
- 平日に役所へ行く時間がない
- 銀行ごとに書類を準備するのが大変
- 遺産分割協議書をどのように作ればよいかわからない
- 相続登記や相続税について誰に相談すればよいかわからない
といった負担が生じることがあります。
特に、仕事やご家庭の事情で時間を取りにくい方にとって、複数の役所や金融機関とのやり取りを並行して進めることは簡単ではありません。
行政書士なかじま法務事務所では、相続人調査のための戸籍収集、遺産分割協議書の作成、法定相続情報一覧図の作成、金融機関の相続手続きなど、ご依頼内容に応じてサポートしております。
不動産登記や相続税申告が必要な場合には、司法書士・税理士と連携します。
「すべて任せたい」という方だけでなく、
「戸籍収集だけお願いしたい」
「遺産分割協議書だけ作ってほしい」
「複数の銀行手続きを任せたい」
といった部分的なご依頼にも対応しております。
まとめ
相続手続きとは、単に財産の名義を変更するだけの手続きではありません。
まず、
遺言書の有無を確認する
相続人を確認する
相続財産を調査する
といった準備を行い、必要に応じて相続人の皆様で遺産分割協議を行います。
そのうえで、預貯金、不動産、自動車、株式など、それぞれの財産について必要な手続きを進めていきます。
また、相続放棄、相続税申告、相続登記など、期限が設けられている手続きもあります。
「何から始めればよいかわからない」という場合には、まず相続全体を整理し、自分で行う手続きと専門家へ依頼する手続きを分けて考えるとよいでしょう。
行政書士なかじま法務事務所では、相続手続き・遺産分割協議書作成を中心に、ご家族の負担をできるだけ減らせるようサポートしております。
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