お役立ちコラム

相続手続きQ&A|期限・戸籍・遺産分割・銀行手続きなどよくある質問

はじめに

相続が発生すると、

「まず何から始めればよい?」

「相続手続きに期限はある?」

「戸籍はどこまで集める?」

「遺産分割協議書は必ず必要?」

「銀行口座はどうすればよい?」

「不動産や相続税は誰に相談すればよい?」

など、さまざまな疑問が出てきます。

相続手続きは、すべてのご家庭で同じ手続きを行うわけではありません。

遺言書の有無、相続人の人数、財産の種類、借入金の有無、不動産や相続税申告の有無などによって必要な手続きが変わります。

この記事では、相続手続きについてよくある疑問をQ&A形式で解説します。


Q1.相続が発生したら、まず何をすればよいですか?

最初から銀行口座の解約や不動産の名義変更を始めるのではなく、まず、

① 遺言書があるか確認する

② 誰が相続人なのか確認する

③ どのような財産・債務があるのか確認する

ことから始めます。

遺言書がある場合には、原則としてその内容を踏まえて相続手続きを進めます。遺言書がない場合などには、相続人による遺産分割協議が必要になることがあります。

相続手続き全体については、「相続手続きとは」、順番や期限については「相続手続きの流れ」の記事で詳しく解説しています。


Q2.相続手続きには期限がありますか?

「相続手続き全体を○か月以内に終わらせなければならない」という一つの期限があるわけではありません。

ただし、個別の手続きには重要な期限があります。

代表的なものは、

  • 相続放棄・限定承認 原則3か月以内
  • 相続税申告・納税 必要な場合は10か月以内
  • 相続登記 原則3年以内

などです。

相続税は、原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納税します。

また、不動産を相続によって取得したことを知った場合には、原則としてそのことを知った日から3年以内の相続登記が必要です。遺産分割によって不動産を取得した場合にも、遺産分割成立日から3年以内の登記義務があります。

そのため、相続が発生したら、まず「自分の相続では期限のある手続きが何か」を確認することが重要です。


Q3.亡くなった人の戸籍は、死亡時のものだけでよいですか?

一般的な相続人調査では、死亡時の戸籍だけでは足りません。

誰が法定相続人なのかを確認するため、被相続人の戸籍を出生までさかのぼって確認する必要があります。

その過程で、

  • 戸籍謄本
  • 除籍謄本
  • 改製原戸籍

などを取得することがあります。

戸籍を調べることで、前婚の子、養子、代襲相続人など、ご家族が把握していなかった相続関係が判明する場合もあります。

詳しくは、「相続人調査・戸籍収集とは」の記事をご覧ください。


Q4.相続財産がどこにあるかわからない場合はどうしますか?

まず、亡くなられた方の自宅にある資料から手掛かりを探します。

例えば、

  • 通帳・キャッシュカード
  • 金融機関からの郵便物
  • 固定資産税関係書類
  • 登記関係書類
  • 証券会社からの書類
  • 保険関係書類
  • 借入金の返済予定表
  • 過去の確定申告書

などです。

預貯金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借入金などの債務についても確認することが重要です。

調査した内容は財産目録などに整理しておくと、その後の遺産分割協議や相続手続きを進めやすくなります。

詳しくは、「相続財産調査とは」の記事をご覧ください。


Q5.借金も相続するのですか?

相続では、預貯金や不動産などの財産だけでなく、原則として亡くなられた方の債務などの義務も引き継ぐことになります。

そのため、

「預金はほとんどないが、多額の借入金がある」

という場合などには、相続放棄を検討することがあります。

相続放棄は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります。

借入金の状況が分からない場合には、財産・債務の調査を早めに進めることが大切です。


Q6.遺言書が見つかったら、すぐに開封してよいですか?

遺言書の種類によって手続きが異なります。

公正証書遺言については家庭裁判所の検認は必要ありません。

また、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されている遺言書についても、検認は不要です。

一方、それ以外の自筆証書遺言などについては、原則として家庭裁判所で「検認」の手続きが必要です。封印された遺言書は、家庭裁判所で相続人等の立会いのもと開封する必要があります。

なお、検認は遺言書が有効か無効かを判断する手続きではありません。


Q7.遺産分割協議書は必ず作成しなければなりませんか?

すべての相続で必要になるわけではありません。

例えば、

  • 相続人が1人だけ
  • 遺言書ですべての財産の承継方法が決められており、その内容で手続きできる

といった場合には、遺産分割協議書が不要なことがあります。

一方、遺言書がなく、複数の相続人で、

「誰がどの財産を取得するか」

を話し合って決めた場合には、その内容を遺産分割協議書として作成しておくことが重要です。

行政書士は、法的紛争段階にある事案等を除き、遺産分割協議書などの書類作成や、その前提となる調査を取り扱うことができます。

詳しくは、「遺産分割協議書とは」の記事をご覧ください。


Q8.遺産分割協議には相続人全員が参加する必要がありますか?

遺産分割協議では、共同相続人全員の合意が必要です。

例えば、相続人が母・長男・長女の3人なのに、

「母と長男だけで決めて、長女には後で知らせる」

という方法で遺産分割を成立させることはできません。

ただし、全員が同じ日時に同じ場所へ集まらなければならないという意味ではありません。

遠方に相続人がいる場合でも、協議内容を確認しながら書類を郵送するなどして、最終的に全員の合意を確認する方法があります。


Q9.相続人の中に未成年の子がいる場合はどうしますか?

相続人に未成年者がいる場合には注意が必要です。

例えば父が亡くなり、

母と未成年の子

が共同相続人となった場合、母自身も相続人であるため、遺産分割において母と子の利益が対立することがあります。

このような利益相反となる場合には、家庭裁判所へ申し立てて、未成年者のための特別代理人を選任する必要があります。裁判所も、共同相続人である親と未成年の子が行う遺産分割協議を利益相反の代表例として挙げています。

未成年者がいるからといって、親が当然に子どもの代わりに遺産分割協議書へ署名できるわけではありません。


Q10.相続人同士で話し合いがまとまらない場合、行政書士に間に入ってもらえますか?

相続人の皆様で合意した内容を遺産分割協議書として作成することは行政書士へ依頼できます。

しかし、

「兄にこの条件を受け入れさせてほしい」

「自分の取り分を増やすよう交渉してほしい」

など、すでに相続人同士で争いとなっている場合に、行政書士が一方の代理人として相手方と交渉することはできません。

日本行政書士会連合会も、行政書士が取り扱う相続業務について、法的紛争段階にある事案を除くとしています。

相続人間で争いが生じている場合には、弁護士への相談を検討します。


Q11.銀行口座は、亡くなったらすぐにすべて凍結されますか?

市区町村へ死亡届を提出したことで、全国の金融機関の口座が自動的に一斉凍結されるわけではありません。

金融機関が口座名義人の死亡を把握すると、相続財産を保全するため、通常はその口座の入出金等が停止されます。

その後、金融機関所定の相続手続きを行い、預貯金の解約・払戻し等を進めます。

必要書類や受付方法は金融機関によって異なるため、取引金融機関ごとに手続きが必要です。

詳しくは、「銀行・預貯金の相続手続き」の記事をご覧ください。


Q12.法定相続情報一覧図は必ず作った方がよいですか?

必ず取得しなければならない書類ではありません。

相続手続き先が一つだけであれば、取得するメリットがそれほど大きくない場合もあります。

一方、

  • 銀行が複数ある
  • 不動産の相続登記がある
  • 証券会社の手続きがある
  • 相続税申告も行う

など、複数の相続手続きがある場合には便利です。

法定相続情報証明制度では、必要な戸籍等を収集して法定相続人を確認した後、一覧図を作成して法務局へ申出を行います。

つまり、戸籍収集が不要になる制度ではなく、一度収集した戸籍をその後の手続きで何度も提出する負担を減らすための制度です。

詳しくは、「銀行・預貯金の相続手続き」の記事をご覧ください。


Q13.不動産を相続した場合、名義変更はいつまでにすればよいですか?

2024年4月1日から相続登記が義務化されています。

相続によって不動産を取得した相続人は、原則として、

自己のために相続が開始したことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内

に相続登記を申請する必要があります。

また、その後の遺産分割によって不動産を取得した場合には、遺産分割成立の日から3年以内に、その内容を反映した登記を行う義務があります。

相続登記は司法書士の専門分野です。


Q14.相続税はすべての相続でかかりますか?

すべての相続で相続税がかかるわけではありません。

相続税には基礎控除があり、現在は、

3,000万円+600万円×法定相続人の数

で計算します。正味の遺産額などが基礎控除額を超える場合には、相続税申告・納税が必要になる可能性があります。

例えば、法定相続人が3人なら、

3,000万円+600万円×3人
4,800万円

が基礎控除額です。

ただし、実際の相続税の判断には財産評価、債務、贈与財産、各種特例などが関係します。

相続税申告が必要な場合の期限は原則10か月以内です。

相続税に関する具体的な判断や申告については税理士へ相談します。


Q15.遺産分割を10年以上しなかったら、もう分けられませんか?

10年を過ぎても遺産分割そのものはできます。

ただし、現在の制度では、相続開始から10年を経過した後の遺産分割については、原則として、生前贈与などの「特別受益」や財産の維持・増加への特別な貢献である「寄与分」を反映した具体的相続分による調整が制限されます。

簡単にいえば、

「10年は遺産分割そのものの締切ではないが、特別受益や寄与分を法律上の調整材料として主張するには重要な区切り」

ということです。

そのため、

「遺産分割には期限がないから、何年でも放置してよい」

とは考えない方がよいでしょう。


Q16.相続手続きは自分でもできますか?

ご自身で行うこともできます。

例えば、

  • 相続人が少ない
  • 相続関係が単純
  • 財産が把握できている
  • 銀行が少ない
  • 平日に役所や金融機関へ対応できる

というケースであれば、ご自身で進められることもあります。

一方、

  • どの戸籍を集めればよいかわからない
  • 本籍地が何度も変わっている
  • 相続人が多い
  • 金融機関が複数ある
  • 平日に手続きをする時間がない
  • 遺産分割協議書を正確に作成したい

という場合には、必要な部分だけ専門家へ依頼する方法もあります。

「全部頼む」か「全部自分でやる」かの二択ではありません。


Q17.相続について行政書士には何を依頼できますか?

行政書士には、法的紛争段階にある案件や他士業の独占業務を除き、

  • 戸籍収集・相続人調査
  • 相続関係説明図の作成
  • 法定相続情報一覧図の作成・申出
  • 相続財産に関する資料の整理
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預貯金等の相続手続き

などを相談することができます。日本行政書士会連合会も、遺産分割協議書や相続人関係説明図などの書類作成と、その前提となる調査を行政書士の相続業務として案内しています。

一方、

不動産の相続登記
→ 司法書士

相続税申告・税務相談
→ 税理士

相続人間の紛争・交渉
→ 弁護士

というように、内容によって担当する専門家が異なります。


Q18.専門家へ依頼すると、相続手続きはいくらかかりますか?

相続手続きの費用は、相続財産の金額だけで決まるものではありません。

例えば、

  • 必要な戸籍の量
  • 相続人の人数
  • 遺産分割協議書作成の有無
  • 金融機関の数
  • 不動産の有無
  • 相続税申告の有無

などによって変わります。

また、

戸籍・証明書等の実費

行政書士・司法書士・税理士等の専門家報酬

登録免許税や相続税などの税金

は、それぞれ別の費用です。

詳しくは、「相続手続きの費用」の記事をご覧ください。

当事務所へご依頼いただいた場合の具体的な料金については、「相続手続き・遺産分割協議書作成サポート」の商品ページでご案内しています。


まとめ

相続手続きでは、一つの疑問を解決すると、次に別の手続きが必要になることがあります。

例えば、

戸籍を集めて相続人を確認する

相続財産・債務を調べる

遺産の分け方を決める

遺産分割協議書を作る

銀行や不動産などの相続手続きを行う

というように、それぞれの手続きがつながっています。

一方で、相続放棄、相続税申告、相続登記など期限のある手続きもあるため、すべてをご自身で理解してから始める必要はありません。

まず、

「現在どの段階なのか」

「次に何をしなければならないのか」

を整理することが大切です。

行政書士なかじま法務事務所では、相続人調査・戸籍収集から法定相続情報一覧図、遺産分割協議書の作成、銀行・預貯金の相続手続きまで、ご依頼内容に応じてサポートしております。

不動産の相続登記が必要な場合には司法書士、相続税申告が必要な場合には税理士と連携して対応します。

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