お役立ちコラム

新築住宅のFIT申請はいつ始める?電力会社の手続きから認定まで

新築住宅に太陽光発電設備を設置する際、「FITの申請は、設備の工事が終わってから始めればよい」と考えていないでしょうか。

FITを利用するには、電力会社との接続手続きに加え、国による事業計画の認定が必要です。しかも、FIT認定申請には、電力会社が発行する「接続の同意を証する書類」を使用します。工事完了後に初めて電力会社への手続きに着手すると、希望する時期に認定が間に合わない可能性があります。

新築住宅のFIT申請は、工事完了を待つのではなく、住宅の計画段階から工程に組み込むことが大切です。この記事では、出力10kW未満の住宅用太陽光発電設備について、施工会社やハウスメーカーが押さえたい順序を説明します。

FIT申請はいつ始めるべきか

結論からいうと、住宅の契約・設計段階で担当者と予定を決め、設備の基本仕様が固まったら電力会社への手続きを進めるのがおすすめです。

ただし、「FIT申請の準備を始める時期」と「FITの電子申請を提出できる時期」は異なります。施主の名義や設備の仕様を確認する準備は早く始められますが、通常の10kW未満の太陽光発電設備では、電力会社の接続同意書類を取得する前にFIT認定申請を提出することはできません。

施工会社側では、次の二つを分けて工程表に記載すると分かりやすくなります。

  • 電力会社側の工程: 接続に関する申込み、審査、接続同意書類の取得など
  • FIT認定側の工程: 申請資料の確認、電子申請、施主の承諾、審査、認定

両方を「太陽光の申請」とまとめてしまうと、どちらの回答を待っているのか分からなくなります。

新築住宅における手続きの基本的な順序

案件によって各工程の前後や所要期間は異なりますが、一般的には次の流れを意識します。

1.施主と設備の基本情報を確認する

まず、誰がFITの発電事業者となるかを確認します。住宅の契約者、建物の所有者、電力会社との契約名義人が異なる可能性もあるため、施主名義を曖昧にしたまま進めないことが重要です。

併せて、太陽光パネルやパワーコンディショナの予定仕様、設備の設置場所を設計担当者と確認します。この段階で後の変更可能性がある場合は、「確定済み」として扱わず、誰がいつ最終仕様を伝えるか決めておきます。

2.電力会社への接続手続きを進める

電力会社への申込みは、FITの認定申請とは別の手続きです。接続に関する回答や書類がいつ得られるかは、案件や電力会社の処理状況によって変わります。

住宅の引渡し予定日だけを基準にせず、接続同意書類の取得見込みを電力会社への申請担当者に確認してください。予定より遅れている場合は、FIT申請の担当者にも早めに共有します。

3.接続同意書類を受け取ってからFIT認定申請を行う

電力会社から「接続の同意を証する書類」を受け取ったら、施主名義、設置場所などがFIT申請に使用する情報と一致しているか確認します。

そのうえで、建物関係の資料や設備情報などをそろえ、再生可能エネルギー電子申請システムで認定申請を行います。必要資料は建物の登記状況や権利関係によって異なるため、新築で登記が未了の場合や共有名義の場合は、申請前に個別に確認します。

4.施主による申請内容の承諾を確認する

代行者が電子申請を行う通常のケースでは、申請内容について施主の確認・承諾が必要です。登録後に施主へ案内が届くこと、案内を確認して手続きをしていただくことを、あらかじめ伝えておきましょう。

申請担当者が情報を登録しても、施主の承諾待ちのままでは審査が進みません。「登録した日」だけでなく、承諾が完了したかを確認することが大切です。

5.認定後も、電力会社側の工程を確認する

FIT認定を受けたことと、実際に売電が始まることは同じではありません。認定後も、電力会社との連系や買取開始に関する工程を、担当者間で確認してください。

住宅の引渡し、設備の工事完了、FIT認定、売電開始をそれぞれ別の日程として管理すると、施主への説明にも役立ちます。

認定までの期間をどう見込むか

資源エネルギー庁が示す10kW未満の太陽光発電設備の標準処理期間は、申請から認定まで2~3か月程度です。ただし、これは申請書類に不備がない場合の目安であり、補正に要する期間は含まれません。

さらに、この期間には、FIT申請前に必要となる電力会社の接続同意書類を取得するまでの時間を含めて考える必要があります。

例えば、住宅の引渡し予定が6月で、4月にようやく電力会社の接続同意書類を取得した場合、すぐにFIT申請を行っても、6月までの認定を当然の前提にはできません。施主の承諾や審査中の補正に時間がかかる可能性もあります。

「引渡し日までに認定されるはず」と説明する前に、接続同意書類の取得見込みと、FIT申請を提出できる時期を確認しましょう。

新築住宅で予定がずれやすい三つの場面

施主の名義が途中で変わる

住宅の契約後に、建物を夫婦共有にすることや、売電関係の名義を変更することが決まる場合があります。電力会社側の書類とFIT申請の名義が異なれば、確認や変更手続きが必要になることがあります。

名義変更の話が出た時点で、営業担当者から電力申請担当者とFIT申請担当者の双方へ共有してください。

発注・施工時に設備の型式が変わる

パネルやパワーコンディショナが、当初の見積書と異なる型式に変更されることがあります。古い資料のまま申請を進めないよう、設計変更の連絡先を決めておくことが重要です。

特に、電力会社への申込み後に設備構成が変わった場合は、電力会社側の手続きにも変更が必要か確認します。

施主の承諾が止まっている

FITの電子申請を登録した後、施主が案内を見落としていることがあります。申請担当者は、施主へ案内を送ったかだけでなく、申請システム上の状態を確認しましょう。

施主への連絡は、「メールをご確認ください」だけでなく、何の申請について、どの操作をしてほしいのかを具体的に伝えると円滑です。

よくある質問

太陽光設備の工事が終わってからFIT申請を始めてもよいですか?

工事完了後に初めて手続きを始めると、電力会社の接続同意書類の取得とFIT認定の審査に時間がかかり、予定していた売電開始時期に影響するおそれがあります。工事完了を申請準備の開始点にせず、設計段階から予定を組むことをおすすめします。

電力会社に申し込んだ時点で、FITも申請できますか?

通常の10kW未満の太陽光発電設備では、電力会社への申込みをしただけでは足りません。FIT認定申請には、電力会社から発行される接続の同意を証する書類が必要です。

新築建物の登記が終わるまで、FIT申請は待つ必要がありますか?

建物の表題登記が未了の場合には、建築確認済証と売買契約書または請負契約書を用いる方法が示されています。ただし、施主と書類上の権利者が異なる場合などは追加資料の確認が必要です。登記未了と分かった段階で、申請担当者に状況を伝えてください。

今年度中の認定を予定しています。いつまでに申請すればよいですか?

年度内認定に向けた申請期限は、年度ごとの案内を確認する必要があります。また、期限までに電子申請の登録を行っても、接続同意書類の不足や施主の承諾待ち、不備の補正があれば、予定どおりに進まない可能性があります。年度末に近い案件ほど、早めに最新の案内と案件の進捗を確認してください。

引渡し予定日だけでなく「申請可能日」を管理する

新築住宅のFIT申請では、引渡し予定日から逆算するだけでは足りません。施工会社が押さえたいのは、電力会社の接続同意書類がいつ得られ、いつFIT認定申請を提出できるかです。

営業、設計、電力申請、FIT申請の担当者で、名義・設備仕様・接続同意書類の取得状況を共有しておけば、予定のずれを早い段階で把握できます。施主にも、FIT認定と売電開始の日程は審査や電力会社の手続きによって変わることを、事前に説明しておくとよいでしょう。

行政書士なかじま法務事務所では、住宅用太陽光発電設備のFIT新規認定申請に対応しています。新築案件の申請時期や、継続して発生する案件の進め方についてもご相談ください。

▶ FIT新規認定申請代行の内容を見る
▶ お問い合わせ・ご相談はこちら

本記事は、施主が発電事業者となる一般的な10kW未満の住宅用太陽光発電設備を想定しています。実際の申請期限、必要資料および電力会社の手続きは、案件と申請時期に応じて確認してください。

関連記事

ページ上部へ戻る