お役立ちコラム

相続手続きの費用はいくら?戸籍・銀行・遺産分割協議書などの費用

はじめに

相続が発生すると、

「相続手続きには、全部でいくらくらいかかるのだろう?」

「自分で手続きすれば、ほとんどお金はかからない?」

「行政書士や司法書士、税理士に頼むと、それぞれ費用が必要なの?」

と気になる方も多いのではないでしょうか。

相続手続きの費用は、一律に「○万円」と決まっているわけではありません。

相続人の人数、戸籍の量、銀行の数、不動産の有無、相続税申告の要否などによって大きく変わります。

相続手続きにかかる費用は、大きく分けると、

① 戸籍や証明書などの実費

② 行政書士・司法書士・税理士などへ依頼する場合の専門家報酬

③ 相続登記の登録免許税や相続税などの税金

の3つに分けて考えると分かりやすくなります。

この記事では、相続手続きのどの段階で、どのような費用が発生するのかを具体的に解説します。


1.相続手続きの費用は「実費・専門家報酬・税金」に分けて考える

相続手続きの費用が分かりにくい理由の一つは、性質の異なる費用が一緒に語られることです。

例えば、戸籍を取得するための手数料と、行政書士へ戸籍収集を依頼する報酬は別のものです。

また、不動産を相続した場合には、司法書士への報酬とは別に登録免許税がかかります。

整理すると次のようになります。

費用の種類 主な内容
実費 戸籍・除籍謄本、住民票、印鑑証明書、登記事項証明書、郵送費など
専門家報酬 行政書士、司法書士、税理士、弁護士等へ依頼した場合の報酬
税金 相続登記の登録免許税、相続税など

つまり、

「相続財産が5,000万円だから、相続手続きの費用は○万円」

というように、財産額だけで単純に決まるものではありません。

どのような手続きが必要になるのかを整理してから、費用を考えることが大切です。


2.戸籍収集にはどのような費用がかかる?

相続手続きを始める際には、まず法定相続人を確認します。

そのために、被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本・改製原戸籍などを収集します。

さらに、相続関係によっては、

  • 相続人の戸籍
  • 被相続人の住民票除票
  • 戸籍の附票
  • 相続人の住民票

などが必要になる場合があります。

これらを取得する際には、市区町村へ支払う証明書の発行手数料がかかります。

また、本籍地が遠方にある場合などには、郵送費等が必要になることもあります。

相続人が配偶者と子どもだけという比較的単純な相続よりも、兄弟姉妹や甥・姪が相続人となるケースの方が、一般に確認する戸籍の範囲が広くなります。

したがって、戸籍収集の費用は「戸籍1通の値段」だけではなく、何通の戸籍を取得する必要があるかによって変わると考えておくとよいでしょう。

戸籍収集について詳しくは、「相続人調査・戸籍収集とは」の記事をご覧ください。


3.法定相続情報一覧図は法務局の手数料が無料

複数の銀行や不動産などで相続手続きを行う場合には、「法定相続情報一覧図」を利用すると便利なことがあります。

法定相続情報証明制度は、必要な戸籍を法務局へ提出し、法定相続関係を一覧にした図について登記官の確認を受ける制度です。

法務局に支払う制度利用の手数料は無料で、必要な通数の一覧図の写しを無料で交付してもらえます。

ただし、

  • 戸籍等を取得する実費
  • 郵送費
  • 専門家へ戸籍収集や一覧図作成を依頼する場合の報酬

まで無料になるわけではありません。

「法定相続情報一覧図は無料」といわれるのは、あくまで法務局での制度利用手数料が無料という意味です。

詳しくは、「法定相続情報一覧図とは」の記事をご覧ください。


4.遺産分割協議書の作成にはどのような費用がかかる?

遺言書がなく、相続人が複数いる場合には、相続人の皆様で誰がどの財産を取得するのか話し合い、その結果を遺産分割協議書にまとめることがあります。

遺産分割協議書そのものについて、

「役所へ○円支払わなければ作成できない」

というものではありません。

相続人の皆様で作成すれば、専門家への作成報酬はかかりません。

一方、行政書士などへ作成を依頼する場合には、専門家への報酬が必要です。

また、実際の遺産分割協議書作成では、その前提として、

相続人を確認する

相続財産を確認する

相続人の皆様で分け方を決める

という作業が必要になります。

そのため、単に「協議書を1枚作る費用」だけを見るのではなく、戸籍収集や財産調査までどこを専門家へ依頼するのかによって、全体の費用が変わります。

詳しくは、「遺産分割協議書とは」の記事をご覧ください。


5.銀行・預貯金の相続手続きにかかる費用

銀行口座の解約・払戻しについても、ご自身で手続きを行うことは可能です。

その場合でも、

  • 戸籍等の取得費用
  • 印鑑証明書等の取得費用
  • 郵送費
  • 必要に応じた残高証明書や取引履歴等の発行手数料

などがかかることがあります。

金融機関によって必要書類や証明書の発行手数料などは異なります。

また、金融機関が複数ある場合には、それぞれ個別に相続手続きを行います。

そのため、

銀行1行だけの場合

と、

銀行・信用金庫などが5~6金融機関ある場合

とでは、同じ「預貯金の相続」であっても手続き量が大きく異なります。

専門家へ預貯金の解約・払戻し手続きを依頼する場合には、金融機関数などに応じた報酬も考える必要があります。

詳しくは、「銀行・預貯金の相続手続き」の記事をご覧ください。


6.不動産がある場合には「登録免許税」がかかる

相続財産に土地や建物がある場合には、相続登記を行います。

このとき必要になるのが登録免許税です。

相続による所有権移転登記の登録免許税は、原則として、

不動産の課税価格 × 0.4%(1000分の4)

で計算します。

例えば、登録免許税の計算に使用する不動産の課税価格が2,000万円であれば、単純計算では、

2,000万円 × 0.4% = 8万円

となります。

ただし、一定の要件を満たす土地については登録免許税の免税措置が設けられており、現在の措置には適用期限もあります。

また、登録免許税とは別に、

  • 登記事項証明書等の取得費用
  • 司法書士へ相続登記を依頼する場合の報酬

などが必要になります。

つまり、

登録免許税=司法書士へ支払う費用

ではありません。

登録免許税は登記に伴って国へ納める税金であり、司法書士報酬とは別の費用です。


7.相続税がかかる場合には税理士報酬も考える

相続税については、すべての相続で申告が必要になるわけではありません。

現在の相続税の基礎控除額は、

3,000万円+600万円×法定相続人の数

です。正味の遺産額などが基礎控除額を超える場合には、相続税の申告・納税が必要になる可能性があります。

例えば法定相続人が、

配偶者+子ども2人

の3人であれば、

3,000万円+600万円×3人
4,800万円

が基礎控除額となります。

ただし、実際の相続税は単純に「財産額-4,800万円」に税率を掛ければ終わるものではありません。

財産評価や債務控除、生命保険金、各種特例なども関係します。相続税申告が必要かどうかを含め、税務については税理士へ確認することになります。

税理士へ相続税申告を依頼する場合には、相続税そのものとは別に税理士報酬も必要です。


8.行政書士・司法書士・税理士では費用の対象が違う

相続では、複数の専門家が関係することがあります。

例えば、

行政書士

  • 戸籍収集・相続人調査
  • 相続関係説明図の作成
  • 法定相続情報一覧図の作成・申出
  • 遺産分割協議書の作成
  • 預貯金等の相続手続き

司法書士

  • 不動産の相続登記

税理士

  • 相続税申告
  • 相続税に関する税務相談

など、それぞれ担当分野が異なります。

したがって、

「行政書士に相続を頼めば、不動産登記や相続税申告も全部その報酬に含まれる」

とは限りません。

どの専門家へ、どの部分を依頼するのかを確認して見積りを見ることが大切です。


9.行政書士へ依頼する場合の費用は、依頼する範囲によって変わる

相続手続きを行政書士へ依頼する場合の費用は、どこまで依頼するのかによって変わります。

例えば、

「戸籍収集だけを依頼する」

「戸籍収集から遺産分割協議書の作成まで依頼する」

「さらに複数の金融機関の相続手続きまで依頼する」

という場合では、必要となる業務量が異なります。

また、同じ戸籍収集でも、配偶者と子どもが相続人となる比較的単純なケースと、兄弟姉妹や甥・姪まで相続人となるケースでは、取得する戸籍の範囲や枚数が大きく異なることがあります。

金融機関の相続手続きについても、1金融機関だけの場合と、複数の銀行・信用金庫等で手続きが必要な場合とでは、必要となる作業量が変わります。

そのため、専門家へ依頼する際には、単に「相続手続き一式はいくらか」だけでなく、

どの手続きまで依頼するのか

を整理したうえで見積りを確認することが大切です。

行政書士なかじま法務事務所の具体的な報酬額については、「相続手続き・遺産分割協議書作成サポート」の商品ページをご覧ください。


10.「全部依頼する」必要はありません

相続手続きを専門家へ相談する場合、

「最初から最後まで全部依頼しなければならない」

とは限りません。

例えば、

戸籍は自分で集めたので、遺産分割協議書だけ作ってほしい

相続人調査と戸籍収集だけ頼みたい

遺産分割協議書までは自分たちで作ったので、銀行手続きだけ任せたい

といった依頼の仕方もあります。

ご自身でできる部分を行い、手間のかかる部分だけ専門家へ依頼すれば、専門家報酬を抑えることもできます。

一方、

  • 相続人が多い
  • 本籍地が何度も変わっている
  • 銀行が複数ある
  • 不動産や証券口座もある
  • 平日に役所や金融機関へ行く時間がない

といった場合には、個別に手続きを進める負担も大きくなります。

費用だけでなく、手続きに必要となる時間や労力も含めて、どこまで専門家へ依頼するかを考えるとよいでしょう。


11.費用を確認するときは「何が含まれているか」を見る

専門家へ相続手続きを依頼するときには、単純に、

「A事務所は5万円、B事務所は10万円」

という金額だけで比較するのではなく、その報酬にどの業務が含まれているのかを確認することが重要です。

例えば「相続手続き5万円」と書かれていても、

  • 戸籍収集は含まれるのか
  • 戸籍取得の実費は別なのか
  • 法定相続情報一覧図を作成するのか
  • 遺産分割協議書は含まれるのか
  • 金融機関の解約まで行うのか
  • 銀行が増えた場合に追加料金があるのか
  • 不動産登記や相続税申告は別料金なのか

によって、実際の総額は変わります。

相続手続きは一件ごとの内容が異なるため、「総額はいくらか」だけでなく、「どこまで対応してもらえる金額なのか」を確認しましょう。


12.結局、相続手続きには全部でいくらかかる?

相続手続きには、

「一般的な相続なら必ず○万円」

という金額はありません。

例えば、

比較的シンプルな相続

  • 相続人が少ない
  • 銀行口座が1~2行
  • 不動産がない
  • 相続税申告が不要

という場合と、

手続きが多い相続

  • 相続人が多数いる
  • 戸籍を広範囲に収集する必要がある
  • 金融機関が複数ある
  • 不動産が複数ある
  • 株式・証券口座がある
  • 相続税申告も必要

という場合では、必要な手続きも費用も大きく異なります。

そのため、まず、

誰が相続人なのか

どのような相続財産があるのか

どの手続きが必要なのか

を確認することが、費用を把握する第一歩になります。


まとめ

相続手続きにかかる費用は、大きく、

① 戸籍・証明書・郵送費などの実費

② 行政書士・司法書士・税理士などの専門家報酬

③ 登録免許税・相続税などの税金

に分けて考えると分かりやすくなります。

法定相続情報証明制度のように無料で利用できる制度もありますが、相続登記では原則として不動産の課税価格の0.4%の登録免許税がかかり、相続税についても基礎控除額を超える場合には申告・納税が必要になる可能性があります。

専門家へ依頼する場合には、単に報酬額だけを見るのではなく、

「どの手続きが含まれているのか」

「実費や他士業の報酬は別なのか」

まで確認することが大切です。

行政書士なかじま法務事務所では、戸籍収集だけ、遺産分割協議書だけ、金融機関の手続きだけといった部分的なご依頼から、複数の相続手続きを組み合わせたご依頼まで対応しております。

不動産の相続登記が必要な場合には司法書士、相続税申告が必要な場合には税理士と連携して手続きを進めます。

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