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お役立ちコラム
9.232023
宅建業免許 の取得要件を徹底解説!

これから不動産業、すなわち宅地建物取引業(宅建業)を始めようとお考えの皆様へ。 人々の大切な「住」に関わる宅建業は、大きな責任が伴うため、事業を開始するには「宅地建物取引業免許」の取得が法律で義務付けられています。これは、消費者を保護し、公正な不動産取引を実現するための重要な制度です。 しかし、免許取得には様々な要件があり、「何から準備すればいいの?」「自分は免許を取れるのだろうか?」といった疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 この記事では、宅建業免許の取得を目指す方のために、免許の種類、満たすべき具体的な要件(人・場所・お金)、注意すべき欠格要件などを、行政書士がわかりやすく解説します。スムーズな免許取得と事業スタートに向けて、ぜひ最後までお読みください。
1.そもそも「宅地建物取引業」とは?
一般的に「不動産業」と呼ばれるものの一部ですが、法律(宅地建物取引業法)で「宅地建物取引業」とされるのは、以下のいずれかの行為を「業として行う」場合です。
- 自らが行う宅地または建物の売買・交換
- 他人が行う宅地または建物の売買・交換・賃貸借の代理または媒介
ポイントは「業として行う」という点です。これは、不特定多数を相手に、反復継続してこれらの取引を行うことを意味します。
【宅建業免許が必要なケース・不要なケース】
取引の種類 | 自分の物件 | 他人の物件 (代理・媒介) | 免許の要否 |
売買 | 〇 (業として) | 〇 | 必要 |
交換 | 〇 (業として) | 〇 | 必要 |
賃貸借 (貸主として) | × | ― |
不要 (いわゆる大家業)
|
賃貸借 (代理・媒介) | ― | 〇 |
必要 (賃貸仲介業など)
|
※自分の物件を賃貸するだけなら免許は不要ですが、それを反復継続して売買する場合や、他人の物件の賃貸を仲介する場合は免許が必要です。
2.宅建業免許は2種類!「大臣免許」と「知事免許」の違い
宅建業免許には、事務所の設置場所によって「国土交通大臣免許」と「都道府県知事免許」の2種類があります。
免許の種類 | 事務所の設置場所 |
都道府県知事免許 | 1つの都道府県内にのみ事務所を設置する場合 |
国土交通大臣免許 | 2つ以上の都道府県に事務所を設置する場合 |
どちらの免許でも、行える業務内容や免許の効力に違いはありません。 あくまで、事務所をどこに置くかによって申請先と免許権者が変わるだけです。最初は知事免許でスタートし、事業拡大に伴い他の都道府県に支店を出すタイミングで大臣免許へ「免許換え」を行うケースが一般的です。
3.要注意!免許が取得できない「欠格要件」
宅建業法第5条には、免許を与えられないケース(欠格要件)が定められています。申請者(法人の場合は役員等も含む)が以下のいずれかに該当する場合、免許申請は拒否されてしまいます。申請前に必ず確認しましょう。
- 過去の違反等による免許取消し:
- 免許の不正取得、特に悪質な不正行為、業務停止処分違反などを理由に免許を取り消され、その取消し日から5年を経過していない場合。
- 上記の疑いで聴聞(意見を述べる機会)の公示をされた後、免許取消処分等を待たずに廃業等の届出を行い、その届出日から5年を経過していない場合。
- 法律違反等による処罰:
- 禁錮以上の刑(懲役刑などを含む)に処せられ、その刑の執行が終わった日(または執行猶予期間が満了した日)から5年を経過していない場合。
- 宅建業法違反や、暴力的な犯罪、背任罪などで罰金の刑に処せられ、その刑の執行が終わった日から5年を経過していない場合。
- 申請前5年以内の不正行為:
- 免許申請前の5年以内に、宅地建物取引に関して不正または著しく不当な行為(例:無免許営業など)をした場合。
- 判断能力・財産管理能力の制限:
- 成年被後見人、被保佐人、または破産手続開始の決定を受け復権を得ていない場合。
- 反社会的勢力等:
- 暴力団の構成員等、または宅地建物取引に関して不正・不誠実な行為をするおそれが明らかな場合。
- 事務所の体制不備:
- 事務所に、後述する「専任の宅地建物取引士」を規定の人数設置していない場合。
【重要】欠格要件の対象者 これらの欠格要件は、個人事業主の場合は申請者本人、法人の場合は代表者だけでなく、取締役や監査役などの役員全員、そして支店長や営業所長など重要な地位にある従業員(政令で定める使用人)にも適用されます。関係者全員が該当しないかしっかり確認が必要です。
4.免許取得のための具体的な要件(人・場所・お金)
欠格要件に該当しないことに加え、免許を取得するには主に以下の3つの要件を満たす必要があります。
要件の種類 | 具体的な内容 |
① 人の要件 |
事務所ごとに「専任の宅地建物取引士」を設置する
|
② 場所の要件 |
継続的に業務ができる独立した「事務所」を確保する
|
③ お金の要件 |
「営業保証金」の供託 または 「保証協会」への加入
|
それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 人の要件:専任の宅地建物取引士の設置
宅建業を行う事務所には、業務に従事する者5名につき1名以上の割合で、「専任」の宅地建物取引士を設置しなければなりません。 例えば、従業員が6名いる事務所なら、専任の宅地建物取引士が2名必要です。
この「専任」とは、以下の2つの要件を満たす必要があります。
- 常勤性: その事務所に常勤していること(通常の勤務時間中、事務所に勤務している状態)。
- 専従性: 専ら宅地建物取引業の業務に従事していること(他の会社の役員を兼ねていたり、他の個人事業を営んでいる場合などは、原則として認められません)。
また、宅地建物取引士として業務に従事するには、宅建試験に合格するだけでなく、都道府県知事の「登録」を受け、有効な「宅地建物取引士証」の交付を受けている必要があります。
もし専任の宅地建物取引士が退職などで不足した場合、2週間以内に補充しなければなりません。
② 場所の要件:独立した事務所の確保
宅建業を営むには、継続的に業務を行える物理的な拠点としての「事務所」が必要です。 本店(登記上の本店)はもちろん、支店(登記の有無に関わらず、実質的に宅建業を営む場所)も事務所とみなされます。本店で宅建業を行わず、支店のみで行う場合でも、本店は事務所としての要件を満たす必要があります。
事務所として認められるためには、一般的に以下のような点が求められます。
- 物理的な独立性: 他の法人や個人のスペースと明確に区分され、独立して業務を行える形態であること。
- 自宅兼事務所の場合は、居住スペースと事務所スペースが壁などで明確に仕切られ、事務所専用の出入り口があることが望ましい場合が多いです(都道府県により判断基準が異なります)。
- 継続的な使用権限: 賃貸借契約などに基づき、安定して使用できることが必要です。
- 事務所としての形態: 看板の設置、固定電話、事務機器(机、椅子、パソコン、複合機など)が備えられていること。
※注意点:近年増えているレンタルオフィスやバーチャルオフィスが事務所として認められるかは、都道府県の運用によって判断が異なります。申請前に必ず確認しましょう。
③ お金の要件:営業保証金 または 保証協会への加入
不動産取引は高額になることが多く、万が一、宅建業者の責任で取引相手に損害を与えてしまった場合に備え、損害賠償能力を担保する制度が設けられています。免許を取得するには、以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
- 営業保証金の供託: 法務局に一定額の金銭等を預ける(供託する)方法です。
- 主たる事務所(本店):1,000万円
- 従たる事務所(支店):1か所につき 500万円
- 保証協会への加入: 国土交通大臣が指定する保証協会(全国宅地建物取引業保証協会または不動産保証協会)に加入し、「弁済業務保証金分担金」を納付する方法です。
- 主たる事務所(本店):60万円
- 従たる事務所(支店):1か所につき 30万円
- ※別途、保証協会への入会金や年会費等が必要です。
【実務上のポイント】 営業保証金の供託はまとまった資金が必要となるため、開業時の初期費用を抑えられる「保証協会への加入」を選択するケースが圧倒的に多いです。保証協会に加入すると、弁済業務保証金分担金の納付に加え、研修や情報提供などのメリットも受けられます。
まとめ:宅建業免許取得は計画的な準備が重要
ここまで、宅建業免許の取得に必要な主な要件について解説してきました。 免許の種類、欠格要件の確認、人的・場所・金銭的要件の準備など、クリアすべき点は多岐にわたります。特に事務所の要件や欠格要件の判断は、個別のケースによって注意が必要です。
これらの要件を満たしているかの確認や、必要書類の収集・作成といった複雑な申請手続きに不安がある方は、ぜひ専門家である行政書士にご相談ください。
当事務所では、宅地建物取引業免許の新規申請、更新、変更届出などの手続きをサポートしております。お客様の状況に合わせた最適なプランをご提案し、スムーズな免許取得と事業開始をお手伝いいたします。
初回のご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせフォームまたはお電話にてご連絡ください。
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