お役立ちコラム
7.122023
古物商許可 は必要?不要?申請手続きの流れ

中古品の買取・販売、せどり、ネットオークションへの出品など、古物(中古品)を取り扱うビジネスを始める方が増えています。しかし、これらのビジネスを行うには、原則として「古物商許可」が必要であることをご存知でしょうか?
「自分は許可が必要なのかな?」「手続きはどうすればいいの?」
そんな疑問をお持ちの方へ、この記事では行政書士が古物商許可の要否判断から申請の流れ、注意点まで分かりやすく解説します。無許可営業の罰則を避け、安心してビジネスを始めるために、ぜひご一読ください。
1. 古物商許可とは? なぜ必要なのか?
古物商許可とは、古物(一度使用された物品や、新品でも使用のために取引された物品など)をビジネスとして売買、交換、レンタルなどを行うために必要な許可です。古物営業法という法律で定められています。
古物営業法の目的:
- 盗品等の市場への流入防止
- 盗品等の迅速な発見
これにより、窃盗などの犯罪防止を図っています。
無許可営業の罰則: もし許可が必要なのに取得せずに営業した場合、「3年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科される可能性があります。コンプライアンスを守り、健全な事業運営を行うためにも、許可取得は非常に重要です。
2. あなたは必要?古物商許可が必要なケース・不要なケース
どのような場合に古物商許可が必要になるのでしょうか? ポイントは「ビジネスとして古物を取り扱うか」どうかです。
【許可が必要になる主なケース】
- 古物を安く買い取って、高く売る(例:リサイクルショップ、中古本販売)
- 仕入れた古物を修理して売る(例:中古家電修理販売、中古車板金塗装販売)
- 仕入れた古物から使える部品だけを売る(例:解体業者、PCパーツ販売)
- 古物を預かり、売れたら手数料をもらう(委託販売)(例:フリマアプリへの代理出品、委託販売店)
- 仕入れた古物をレンタルする(例:中古工具レンタル、古着レンタル)
- 古物を他の物と交換する(例:トレーディングカード交換業)
- 国内で仕入れた古物を海外に輸出して販売する
注意!インターネットでの取引も対象です メルカリ、ヤフオク、ラクマなどのフリマアプリやネットオークション、自身のECサイトであっても、「転売目的で仕入れた中古品」を販売する場合は、古物商許可が必要です。
【許可が不要な主なケース】
- 自分で使うために買ったものを売る(例:読み終わった本、サイズが合わなくなった服、遊ばなくなったゲームを売る)
- ポイント:最初から転売目的で購入した場合は許可が必要
- 無償(タダ)でもらったものを売る
- 海外で自分で買ってきたものを売る(他の業者などが輸入したものを仕入れて売る場合は許可が必要)
- 自分が売った相手から、その商品を買い戻す
- 化粧品、金券、食品、サプリメントなど、一度使うと価値がなくなる・形状が変わる「消耗品」(ただし、未使用品を転売目的で仕入れて売る場合は注意が必要な場合も)
- 電子チケットやデジタルデータなど、実体のないもの
「自分の場合はどうなんだろう?」と迷ったら、専門家である行政書士に相談するのが確実です。
3. 古物商許可 申請手続きの7ステップ
古物商許可を取得するための具体的な流れをステップごとに解説します。
ステップ①:許可が取れない条件(欠格事由)に該当しないか確認
以下のいずれかに当てはまる方は、原則として古物商許可を取得できません。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 禁錮以上の刑に処せられ、又は特定の犯罪(※)により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者
- ※ 古物営業法違反のうち無許可、不正手段による許可取得、名義貸し、営業停止命令違反 / 窃盗、背任、遺失物横領、盗品等有償譲受け等
- 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
- 暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者、暴力団員等がその事業活動を支配する者など
- 住居の定まらない者
- 古物営業法第24条の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して5年を経過しない者
- 成年被後見人・被保佐人(※事業能力のある未成年者を除く)
- 営業所(※下記参照)について適切な権原を有しない者
- 法人で、役員の中に上記いずれかに該当する者がいる場合
- 外国籍の方で、適切な在留資格がない場合(「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」など)
【重要】営業所の確保 インターネット専門の販売であっても、古物営業を行うための**「営業所」**が必ず必要です。自宅、賃貸マンション、レンタルオフィスなどでも可能ですが、使用権限(持ち家、賃貸借契約など)があり、独立して管理できるスペースが必要です。 ※賃貸物件の場合は、契約書で事業所利用が禁止されていないか確認しましょう。
ステップ②:個人で申請するか、法人で申請するかを決める
- 個人申請: 個人事業主として許可を取得します。屋号をつけることも可能です。
- 法人申請: 会社(株式会社、合同会社など)として許可を取得します。まず法人を設立し、登記する必要があります。
注意点:
- 法人の役員が個人で古物商許可を持っていても、その法人で古物営業はできません。必ず法人として許可が必要です。
- 個人で許可を持つ人が法人を設立した場合も、別途法人として許可が必要です。
- 原則として、一人が個人と法人の管理者(※後述)を兼任することはできません。
ステップ③:取り扱う古物の品目を決める
古物営業法では、古物を13品目に分類しています。申請時に、メインで取り扱う品目を1つ選び、その他取り扱う可能性のある品目を複数選択します。
- 美術品類
- 衣類
- 時計・宝飾品類
- 自動車
- 自動二輪車及び原動機付自転車
- 自転車類
- 写真機類
- 事務機器類
- 機械工具類
- 道具類
- 皮革・ゴム製品類
- 書籍
- 金券類
ステップ④:管轄の警察署に事前相談(推奨)
申請書類の提出先は、営業所の所在地を管轄する警察署の「生活安全課 防犯係」です。 申請前に一度電話などで相談しておくと、必要書類や記載方法について具体的なアドバイスをもらえ、スムーズに手続きを進めやすくなります。ローカルルールが存在する場合もあるため、事前相談は非常に有効です。
ステップ⑤:必要書類の収集
申請に必要な書類は、個人申請か法人申請か、営業所の状況などによって異なります。以下は主な例です。
【個人の場合】
- 許可申請書
- 住民票の写し(本籍地記載、マイナンバー省略 / 申請者本人・管理者)
- 身分証明書(本籍地の市区町村発行 / 申請者本人・管理者)
- 略歴書(直近5年分 / 申請者本人・管理者)
- 誓約書(申請者本人・管理者)
- URLを届け出る場合は、プロバイダ等からの資料のコピー
- 営業所の賃貸借契約書のコピー(賃貸の場合)
- (場合により)営業所の使用承諾書
【法人の場合】
- 許可申請書
- 法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
- 法人の定款のコピー(奥書証明が必要)
- 住民票の写し(本籍地記載、マイナンバー省略 / 役員全員・管理者)
- 身分証明書(本籍地の市区町村発行 / 役員全員・管理者)
- 略歴書(直近5年分 / 役員全員・管理者)
- 誓約書(役員全員・管理者)
- URLを届け出る場合は、プロバイダ等からの資料のコピー
- 営業所の賃貸借契約書のコピー(賃貸の場合)
- (場合により)営業所の使用承諾書
※「管理者」とは、各営業所で古物取引を適正に行うための責任者です。営業所ごとに選任する必要があります。
ステップ⑥:申請書類の作成
警察署のウェブサイトから様式をダウンロードするか、警察署で直接入手し、記入例を参考に正確に作成します。不明な点は空欄にせず、警察署に確認しながら進めましょう。
ステップ⑦:警察署へ書類提出と手数料納付
準備した書類一式を管轄の警察署(生活安全課 防犯係)に提出します。提出時に申請手数料として 19,000円 を納付します。(不許可の場合や申請を取り下げた場合でも返金されません)
ステップ⑧:審査
警察署で書類の不備がないか確認された後、審査が開始されます。審査期間は標準で 約40日 です。この期間中に、営業所の確認などで警察官が訪問する場合があります。
審査が無事完了すると、警察署から連絡があり、許可証を受け取りに行くことになります。
4. まとめ:古物商許可は早めの準備と専門家への相談がカギ
古物商許可は、中古品ビジネスを行う上で非常に重要な手続きです。
- ビジネスとして中古品を売買・交換・レンタルする場合は原則必要
- フリマアプリやネットオークションでの転売目的の仕入れ販売も対象
- 営業所の確保が必須(ネット専門でも)
- 申請には多くの書類と約40日の審査期間が必要
「自分は大丈夫かな?」「書類集めや作成が大変そう…」と感じたら、ぜひ行政書士にご相談ください。
当事務所では、古物商許可申請に関するご相談から、書類作成、警察署とのやり取り代行まで、トータルでサポートいたします。スムーズな許可取得で、安心してビジネスをスタートさせましょう。
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