お役立ちコラム
5.132025
医療法人設立 に必要な書類一覧と作成時の注意点

はじめに
「クリニックの経営を安定させたい」「節税対策をしたい」といった理由から、医療法人の設立を検討されている医師の方も多いのではないでしょうか。しかし、医療法人の設立手続きは複雑で、多くの書類作成が必要となります。
本記事では、行政書士が医療法人設立に必要な書類一覧と、それぞれの書類作成における注意点を分かりやすく解説します。これから医療法人設立をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
医療法人設立のメリット・デメリット
- メリット例: 節税効果、社会的信用の向上、事業承継の円滑化など
- デメリット例: 設立・運営コストの増加、事務作業の煩雑化、自由な資金移動の制限など
医療法人設立に必要な書類一覧
医療法人設立の申請は、都道府県知事の認可を受ける必要があり、提出書類は多岐にわたります。以下に主要な書類を挙げますが、都道府県によって書式や必要書類が若干異なる場合があるため、必ず事前に管轄の都道府県庁にご確認ください。
【主要な申請書類】
- 医療法人設立認可申請書: 申請の表紙となる書類です。
- 定款(または寄附行為): 法人の目的、名称、事務所の所在地、役員、社員、資産、会計など、法人の基本規則を定めたものです。
- 注意点:
- 記載事項に漏れがないか、法的に問題がないかを確認する必要があります。
- 原始定款は、公証人の認証が必要です。(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律の規定を準用する場合)
- 社員総会(または評議員会)の議事録も必要となる場合があります。
- 注意点:
- 設立趣意書: 医療法人を設立する目的や必要性、設立後の事業計画などを具体的に記載します。
- 注意点:
- 設立の動機や地域医療への貢献など、熱意が伝わる内容を心がけましょう。
- 事業計画は具体的かつ実現可能なものを示す必要があります。
- 注意点:
- 設立当初の財産目録及びその証明書類: 設立時の資産状況を明らかにする書類です。
- 内訳例: 現金、預金、医薬品、医療機器、不動産など
- 証明書類例: 預金残高証明書、不動産登記事項証明書、固定資産評価証明書、リース契約書写しなど
- 注意点:
- 拠出する財産は、設立する医療法人が医療事業を行うために必要なものに限られます。
- 負債がある場合は、その内容も明記する必要があります。
- 開設しようとする診療所の概要:
- 施設の概要: 所在地、名称、診療科目、建物平面図、付近の見取り図など
- 人員の概要: 管理者、従事する医師・歯科医師・薬剤師・看護師等の氏名、免許証の写しなど
- 設備の概要: 主要な医療機器の一覧など
- 注意点:
- 保健所の事前相談の内容と整合性が取れているか確認しましょう。
- 建物が賃貸の場合は、賃貸借契約書の写しが必要です。自己所有の場合は、登記事項証明書が必要です。
- 役員及び社員(または評議員)の名簿: 氏名、住所、生年月日、就任承諾書などを添付します。
- 注意点:
- 役員の欠格事由に該当しないか確認が必要です。
- 履歴書の提出も求められる場合があります。
- 注意点:
- 設立代表者の資格を証する書類: 設立代表者の医師免許証の写しなど。
- 管理者となる者の医師免許証の写し及び就任承諾書
- 役員就任承諾書及び印鑑登録証明書: 各役員の就任の意思を確認する書類と、実印の証明です。
- 社員資格取得承諾書(社員総会構成員となる者の場合)
- 設立総会議事録(または設立準備委員会議事録など名称は都道府県により異なる場合があります): 設立に関する意思決定の過程を記録したものです。
- 注意点:
- 議事の経過、決議事項、出席者などを正確に記載する必要があります。
- 注意点:
- 負債残高証明書及び債務引継承認書(個人開設の診療所を法人化する場合): 個人事業時の負債を法人が引き継ぐ場合に必要です。
- リース契約承継承認書(リース物件がある場合): リース物件を法人が引き継ぐ場合に必要です。
- その他都道府県知事が必要と認める書類: 個別の状況に応じて追加書類が求められることがあります。
書類作成時の全体的な注意点
- 正確性: 誤字脱字はもちろん、記載内容に誤りがないよう細心の注意を払いましょう。
- 整合性: 各書類間で記載内容に矛盾がないようにしましょう。特に、事業計画、資金計画、定款の内容は密接に関連します。
- 期限の遵守: 申請には受付期間が設けられている場合が多いです。事前に確認し、余裕を持ったスケジュールで準備を進めましょう。
- 押印: 必要な箇所への押印漏れがないようにしましょう。捨印も忘れずに。
- 副本の作成: 提出書類は必ずコピーを取り、控えとして保管しておきましょう。
- 専門家への相談: 書類作成や手続きに不安がある場合は、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。時間と労力を大幅に削減でき、スムーズな設立が期待できます。
設立認可後の手続き
都道府県知事の認可後も、以下のような手続きが必要です。
- 設立登記: 認可後2週間以内に法務局で設立の登記を行います。登記が完了して初めて法的に医療法人が成立します。
- 保健所への診療所開設許可申請(または届出)
- 厚生局への保険医療機関指定申請
- 税務署・都道府県・市町村への法人設立届出
- 社会保険・労働保険関係の手続き
まとめ
医療法人の設立は、多くの書類作成と煩雑な手続きが伴います。しかし、事前にしっかりと準備を進め、注意点を押さえておくことで、スムーズな設立が可能です。
この記事が、医療法人設立を目指す皆様の一助となれば幸いです。ご自身での手続きが難しいと感じた場合は、無理せずに行政書士にご相談ください。当事務所でも、医療法人設立のサポートを承っておりますので、お気軽にお問い合わせいただければと存じます。
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