お役立ちコラム

「医療法人」とは何か? 仕組みを分かりやすく解説

「医療法人」という言葉をなんとなくの意味は知っているけど、詳しく説明することはできない……という人は多いのではないでしょうか? そこで今回は、医療法人についてわかりやすく解説していきます。

1.「医療法人」とは何か?

そもそも、「医療法人」とはどのようなものなのでしょうか?

「医療法人」は医療法に定められています。

第三十九条 病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、これを法人とすることができる。

2 前項の規定による法人は、医療法人と称する。

 第四十条の二 医療法人は、自主的にその運営基盤の強化を図るとともに、その提供する医療の質の向上及びその運営の透明性の確保を図り、その地域における医療の重要な担い手としての役割を積極的に果たすよう努めなければならない。

 第四十四条 医療法人は、その主たる事務所の所在地の都道府県知事(以下この章(第三項及び第六十六条の三を除く。)において単に「都道府県知事」という。)の認可を受けなければ、これを設立することができない。

 簡単に纏めますと、医療法人は地域の医療を担う担い手として、都道府県の認可を得て作ることができる法人ということです。

認可を受けますので、都道府県の管理下におかれることになります。

 

2.どのように認可を受けるのか?

例えば、東京都の例でいえば、年に2回に認可の機会があります。例年の場合を示します。

8月下旬~9月上旬 仮受付 

翌年1月下旬~2月初旬 審議会

2月中旬~下旬 認可証の交付

 

2月下旬~3月上旬 仮受付

4月下旬~8月初旬 審議会

8月中旬~8月下旬 認可証の交付  

 都道府県によっては、タイミングや回数が異なる場合がありますので、ご自分のクリニックの都道府県に確認してください。

 「仮受付」といっても、ほぼこの時点で完成に近い申請書類を提出する必要があります。

ここで、書類が揃っていなかったり、考え方が間違えていたりすると、申請が通らないケースもありますので、注意が必要です。

 

3.「社団医療法人」の種類

今回は「社団医療法人」について解説していきます。

「社団医療法人」については、①持分のある医療法人 ②持分のない医療法人の2種類があります。

これらは、平成19年を境に分けられます。

平成19年よりも前に設立された医療法人は、①持分のある医療法人で、それ以後に設立されたものは②持分のない医療法人です。

現在は、②持分のない医療法人しか設立することはできません。

 ①持分のある医療法人

医療法人を設立するときに出資した資産が、解散するときに戻ってくる

 ②持分のない医療法人

医療法人を設立するときに出資した資産が、解散するときに戻ってこない

 ②持分のない医療法人は、解散時に資産が戻ってはこないのですが、事業承継のときにはメリットにもなり得ます。

色々な情報を集めて、自身にとって、医療法人にするのが良いのかどうか、総合的に判断することが重要です。

 

4.医療法人の組織

医療法人には社員・理事という人がいます。どちらが経営上重要なのかというと、社員の方が重要です。

社員というとスタッフのことを想像するかもしれませんが、それは間違いです。

社員というのは、医療法人の最高意思決定機関である社員総会の構成員と考えることができます。

社員総会が上にあり、その下に理事会があるというイメージです。

 理事及び監事は、社員総会において選任され、理事長は理事の互選によって定めることになっています。

理事長を決めるのも、社員総会の意向によることができるということになります。

 社員は、出資をしていなくても、一人一票の議決権が与えられます。

誰が社員であるかによって、医療法人の経営が決まってきますので、とても重要な役割といえます。

 

5.医療法人は利益をだしてはいけないのか?

よく医療法人は「非営利なので物販をしてはいけない」といわれることがありますが、それは誤りです。

非営利というのは、利益をだしてはいけないということではありません。

非営利というのは、利益がでたものを、その構成員で分配することができないということです。

物販については、医療法人の付随業務として行うことはできます。

病院内で、入院、もしくは通院する患者、及びその家族を対象として行われる業務や、病院等の職員の福利厚生のために行われる業務であって、医療提供または、療養の向上の一環として行われるものであれば行うことはできるのです。

来ている患者さんに、有効なサプリメントを勧めて買っていただくというようなイメージです。

 

当事務所では、医療法人設立のサポートを行っております。お気軽にお問い合わせください。

お問い合せはこちらからどうぞ

関連記事

ページ上部へ戻る