11.42026
相続トラブルを回避するには?今からできる3つの備え

「うちは家族仲が良いから、相続でもめることはないと思う」
「財産は自宅と預金くらいなので、特別な準備はいらないのでは?」
このようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、相続では財産の金額だけでなく、家族それぞれの生活事情や、介護への思い、実家をどうするかといった問題から、意見が分かれることがあります。
大切なのは、ご本人が元気なうちに、意思と財産の情報を整理しておくことです。
この記事では、将来の相続トラブルを防ぎ、ご家族の負担を軽くするための「今からできる3つの備え」を解説します。
相続トラブルは、財産の多さだけで決まるものではありません
例えば、次のようなご家庭でも、相続の準備が役立ちます。
- 財産の大部分が自宅で、分けられる預金が少ない
- 子どものうち1人が親と同居し、介護を担っている
- 子どもがそれぞれ遠方に住み、実家の管理が難しい
- 再婚しており、前婚のお子様もいる
- 家族が把握していない銀行口座や不動産がある
「自宅に住み続けたい人」と「売却して代金を分けたい人」がいれば、財産の総額が大きくなくても話し合いが難しくなることがあります。
家族仲の良さを大切にするためにも、判断をすべて残されたご家族に委ねず、ご本人の考えを整理しておきましょう。
備え1:遺言書で「誰に、何を遺したいか」を明確にする
口約束だけでなく、法律上の方式に沿って意思を残す
遺言書は、ご自身の死後に財産を誰へ引き継いでほしいかなどを、法律で定められた方式に従って残すものです。
例えば、次のような希望がある場合に検討します。
- 配偶者が自宅で暮らし続けられるようにしたい
- 介護をしてくれた子どもへ多く財産を遺したい
- 内縁のパートナーなど、相続人以外の方にも財産を遺したい
家族に口頭で伝えていても、それだけで遺言としての効力が認められるわけではありません。また、エンディングノートに希望を書くだけでは、通常、遺言書の代わりにはなりません。
財産の承継について具体的な希望がある方は、遺言書として整えておくことが大切です。
公正証書遺言を中心に、自分に合う方法を検討する
遺言書には、自筆証書遺言や公正証書遺言などの種類があります。
公正証書遺言は、公証人がご本人の意思を確認し、証人2名の立会いのもとで作成する方法です。 公証人が関与することで形式不備のリスクを抑えられ、相続開始後の家庭裁判所での検認も不要です。
自筆証書遺言は、ご本人が本文・日付・氏名を手書きし、押印するなど、法律上の要件を満たす必要があります。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すれば検認は不要になりますが、この制度が遺言の有効性まで保証するわけではありません。
当事務所では、ご本人の希望や家族構成を伺い、公正証書遺言を中心に作成をサポートしています。
詳しくは、公正証書遺言とは?自筆証書遺言との違いやメリット・デメリットをご覧ください。
遺留分や、財産の分け方にも配慮する
遺言書を作成するときは、希望を書くだけでなく、その内容で家族がどのような状況になるかも考えます。
兄弟姉妹以外の相続人には、一定の取り分を保障する「遺留分」があります。例えば、特定の子どもに財産を集中させる内容では、他の相続人から遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求される可能性があります。
自宅を引き継ぐ方に十分な預金がない場合などは、その支払いが負担になることも考えられます。
ご本人の希望と、ご家族が実際に対応できる分け方の両方を確認しておきましょう。
詳しくは、遺留分とは?遺言書を書いても自由に財産を分けられない?で解説しています。
備え2:財産目録を作り、財産と借入れを見える形にする
まずは「何が、どこにあるか」を一覧にする
遺言書を検討するためにも、ご自身の財産を把握しておくことが出発点になります。
家族が口座の存在を知らなかったり、不動産の資料が見つからなかったりすると、相続後の調査に時間がかかります。
まずはノートや表計算ソフトなどを使い、次の情報を整理してみましょう。
| 整理するもの | 記録しておきたい情報 |
|---|---|
| 預貯金 | 金融機関・支店・口座の種類・口座番号 |
| 不動産 | 所在地・地番・持分・関係書類の保管場所 |
| 株式・投資信託 | 証券会社・取引口座・保有商品の概要 |
| 生命保険 | 保険会社・契約内容・受取人・証券の保管場所 |
| 借入れなど | 借入先・残高の目安・返済予定・契約書の保管場所 |
最初から金額を正確に確定する必要はありません。概算額には確認した日付を添え、まずは財産と借入れの全体像をつかむことを目指します。
ネット銀行やネット証券など、通帳や紙の郵便物が届かない取引も忘れずに確認してください。
家族向けの一覧と、遺言書に添付する財産目録を区別する
ここでいう財産目録は、まず、ご自身や家族が財産を把握するための一覧です。この一覧を作るだけで、財産を引き継ぐ人が決まるわけではありません。
一方、自筆証書遺言に添付する財産目録には、別途注意が必要です。パソコンで作成した目録や通帳の写しなども利用できますが、自書によらない記載がある各ページへの署名・押印など、法律上の要件があります。両面に自書によらない記載がある場合は、両面に署名・押印が必要です。
家族向けに作った一覧を、そのまま遺言書に添付すればよいとは限りません。
内容を更新し、必要なときに見つかるようにする
口座の開設・解約、不動産の売買、借入れの完済などがあれば、一覧も見直します。
また、財産の情報は大切な個人情報です。保管場所を決め、必要なときに誰が確認できるかを考えておきましょう。
暗証番号やログインパスワードを財産一覧にまとめて書き込むことは避け、取引先の情報と認証情報は分けて安全に管理することをおすすめします。
備え3:家族との対話で、希望と不安を共有する
最初から財産の分け方を決めようとしない
相続の話を切り出すと、「まだ早い」「財産の話をされるのは気が進まない」と感じる方もいます。
最初から「誰にいくら渡すか」を話し合う必要はありません。まずは、ご本人が今後どのように暮らしたいか、家族に何を知っておいてほしいかという話から始めましょう。
例えば、ご本人からであれば、次のように伝える方法があります。
「今すぐ何かを決めるわけではないけれど、将来みんなが困らないように、書類の置き場所を伝えておきたい」
お子様からであれば、次のような切り出し方も考えられます。
「財産をどう分けるかよりも、これからどんな暮らしをしたいのか、まず希望を聞いておきたい」
ご本人の意思を尊重し、無理のない範囲で話を進めることが大切です。
財産の情報だけでなく、希望の理由も伝える
「なぜ自宅を配偶者に遺したいのか」「なぜ介護をしてくれた子どもへ配慮したいのか」といった理由を伝えておくことは、家族がご本人の考えを理解する助けになります。
ただし、希望を説明したからといって、必ず全員が納得するとは限りません。特定の家族の意向だけで話を進めず、ご本人が落ち着いて考えられる環境を大切にしてください。
家族との話し合いや、その記録だけで遺言書の代わりになるわけでもありません。財産の承継に関する希望は、必要に応じて遺言書として整えます。
今から始める相続準備チェックリスト
できている項目から確認し、足りないところを少しずつ整えていきましょう。
- 財産を誰に、どのように遺したいか考えている
- 自宅など、簡単には分けにくい財産を把握している
- 預貯金・不動産・証券・保険・借入れの情報を整理している
- 関係書類の保管場所を決めている
- 家族と、ご本人の希望や将来の不安を話す機会を持っている
- 遺言書の必要性や、家族構成・財産の変化に応じた見直しを検討している
すべてを一度に終える必要はありません。まずは財産の一覧を作る、希望を書き出すなど、取りかかりやすいことから始めてみてください。
親の相続が心配な方も、ご相談いただけます
「親に遺言書を作ってほしいが、話を切り出しにくい」
「自宅と預金を、どのように家族へ遺せばよいのかわからない」
このようなお悩みがある場合も、ご相談ください。
東京都台東区の行政書士なかじま法務事務所では、ご本人やご家族のお気持ちを伺いながら、遺言書原案の作成支援、必要書類の収集、公証人との事前調整などをお手伝いします。お子様だけでの初回相談も承っていますが、遺言書を作成する際は、ご本人の意思を確認し、尊重して進めます。
相続人間ですでに争いがある場合の交渉・紛争対応は弁護士、不動産登記は司法書士、相続税などの税務相談は税理士の担当分野です。ご相談内容に応じ、適切な専門家と連携して対応します。
サービス内容・費用は、遺言書作成サポートをご覧ください。
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