お役立ちコラム
12.192024
医療法人 の知事への届出、手続きの種類と注意点

医療法人を運営されている皆様、日々の診療や経営、本当にお疲れ様です。忙しい業務の中で、行政手続きをつい後回しにしてしまうこともあるかもしれません。しかし、医療法人の運営においては、都道府県知事への「届出」が法律で義務付けられている事項がいくつかあります。
この届出を怠ると、後々問題が発生する可能性も…。そこで今回は、医療法人の知事への届出について、その種類や手続き、注意点などを分かりやすく解説します。
1.医療法人の知事への届出とは?
医療法人の知事への届出とは、医療法や関連法令に基づき、法人の運営に関する特定の事項について、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事(または、保健所設置市長・特別区長の場合もあります)に対して、書面等で報告する手続きのことです。
これは、法人の設立時や定款変更時に必要となる「認可」とは異なり、既に認可を受けて運営している医療法人が、法律で定められた特定の変更や状況が発生した場合に行う義務手続きです。行政が医療法人の状況を正確に把握し、適切な指導監督を行うために必要なものと位置付けられています。
2.なぜ知事への届出が必要か?
医療法人は、その公益性の高さから、医療法によって設立や運営に関する様々なルールが定められています。知事への届出は、この医療法に定められた義務です。
届出を行うことで、行政は以下のような目的を果たしています。
- 医療法人の適正な運営の確保: 役員の構成や資産状況などを把握し、法人が健全に運営されているかを確認します。
- 医療提供体制の把握: どのような医療法人が、どこで、どのような活動をしているかを把握し、地域医療計画などに役立てます。
- 国民への情報提供: 届出された情報の一部は、国民が医療法人に関する情報を得るための基礎となります。
届出を怠った場合、医療法に基づく過料(罰金のようなもの)の対象となる可能性があります。また、行政からの信用低下にもつながりかねません。
3.どんな時に届出が必要か?(主なケース)
知事への届出が必要となるのは、主に以下のようなケースです。都道府県によって細かなルールや様式が異なる場合がありますので、必ず管轄の都道府県庁にご確認ください。
- (1) 役員(理事・監事)の変更: 新たに役員が就任した場合や、役員が退任・死亡した場合、重任(再任)した場合など。変更後、遅滞なく届け出る必要があります。多くの場合、就任承諾書や履歴書、印鑑証明書などの添付が必要です。
- (2) 定款(寄附行為)の変更(届出で済む軽微な変更): 医療法人の根本規則である定款(または寄附行為)を変更する場合、通常は「認可」が必要ですが、事務所所在地の変更(都道府県内での移転)や公告方法の変更など、法律で定められた軽微な変更については、「届出」で済む場合があります。
- (3) 登記事項の変更完了: 資産総額の変更など、法務局で登記を行った後、その登記事項証明書(登記簿謄本)を添付して知事に届け出る必要があります。(登記完了後、遅滞なく)
- (4) 毎事業年度終了後の届出(事業報告書等): 医療法人は、毎会計年度終了後3ヶ月以内に、事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書、監事の監査報告書などを知事に届け出る義務があります。(医療法第52条)これは非常に重要な届出の一つです。
- (5) その他: 開設する診療所や病院に関する事項の変更(管理者変更など)で、別途保健所への届出とは別に、法人として知事への届出が必要となるケースもあります。
4.届出の手続きはどうすればよいのか?
届出の手続きは、一般的に以下の流れで進めます。
- 届出事由の発生: 上記のような届出が必要な状況が発生します。
- 必要書類の確認: 管轄の都道府県庁のウェブサイトや担当部署(医務課、医療指導課など)に問い合わせて、必要な届出書様式や添付書類を確認します。様式はウェブサイトからダウンロードできる場合が多いです。
- 書類の作成・収集: 届出書に必要事項を記入し、必要な添付書類(役員の就任承諾書、履歴書、印鑑証明書、登記事項証明書、事業報告書等々)を揃えます。
- 提出: 完成した書類一式を、都道府県庁の担当部署へ持参または郵送で提出します。提出部数(正本・副本など)も確認しましょう。
- (副本の受領): 提出時に副本に受付印を押印してもらい、控えとして保管します。郵送の場合は、返信用封筒を同封することで副本を返送してもらえる場合があります。
注意点:
- 提出期限: 各届出には提出期限が定められています(例:「遅滞なく」「毎会計年度終了後3ヶ月以内」など)。期限を過ぎないように注意が必要です。
- 管轄: 届出先は、医療法人の主たる事務所の所在地を管轄する都道府県庁です。複数の都道府県で事業を行っていても、主たる事務所の都道府県に届け出ます。
- 最新情報の確認: 手続きや様式は変更される可能性があるため、必ず最新の情報を確認するようにしましょう。
5.よくあるミスと注意点
届出手続きでよく見られるミスや注意点は以下の通りです。
- 届出忘れ・提出期限の徒過: 最も多いミスの一つです。特に役員変更や毎事業年度終了後の届出は忘れがちです。スケジュール管理を徹底しましょう。
- 添付書類の不備: 必要な書類が不足していたり、有効期限が切れていたりするケース(例:印鑑証明書)。チェックリストを作成するなどして確認しましょう。
- 記載内容の誤り: 届出書の記載事項(法人名、所在地、役員の氏名・住所、日付など)に誤りがある。正確に記入し、提出前に再度確認しましょう。
- 押印漏れ: 必要な箇所への法人実印や役員個人の印鑑(認印・実印)の押印が漏れている。
- 旧様式の使用: 古い様式で作成・提出してしまう。必ず最新の様式を使用しましょう。
これらのミスがあると、書類が受理されなかったり、補正を求められたりして、手続きが遅延する原因となります。
6.行政書士に依頼するメリット
「手続きが複雑そう」「忙しくて手が回らない」「ミスなく確実に済ませたい」
そうお考えの医療法人様は、行政手続きの専門家である行政書士にご依頼いただくことをお勧めします。
- ① 確実・スムーズな手続き: 専門知識に基づき、必要な書類を正確に作成し、スムーズな届出を実現します。ミスのリスクを大幅に減らせます。
- ② 時間と労力の削減: 面倒な書類作成や役所とのやり取りを代行します。皆様は本来の業務である医療や経営に専念いただけます。
- ③ 最新情報への対応: 法令改正や運用変更など、最新の情報に基づいて適切な手続きを行います。
- ④ 関連手続きへの対応: 登記手続き(提携司法書士と連携)や、その他の許認可申請など、関連する手続きについてもワンストップで相談・対応が可能です(事務所によります)。
- ⑤ 相談相手としての安心感: 届出だけでなく、医療法人の運営に関する様々な法的手続きについて、気軽に相談できる専門家がいることは大きな安心につながります。
7.当事務所のサポート内容
行政書士なかじま法務事務所では、医療法人様の知事への各種届出をサポートしております。
<当事務所の強み>
- 医療法人手続きの豊富な経験: これまで多くの医療法人様の設立認可申請や各種届出、運営サポートに携わってまいりました。
- 丁寧なヒアリング: お客様の状況を丁寧にお伺いし、最適な手続きをご提案します。
- 迅速かつ正確な対応: スピード感が求められる手続きにも、正確性を担保しつつ迅速に対応いたします。
- 分かりやすい説明: 専門用語を避け、分かりやすい言葉でご説明することを心がけております。
<主なサポート内容>
- 各種届出書類の作成代行
- 添付書類の収集サポート(必要に応じて)
- 都道府県庁への提出代行
- 手続きに関するご相談対応
- 事業報告書等作成のサポート
- 定款変更認可申請サポート
- 顧問契約による継続的な法務サポート
初回のご相談は無料です。医療法人の知事への届出はもちろん、その他運営に関するお手続きでお困りのことがございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。
東京都台東区で「お困りごとを解決する」行政書士をしております。
遺言・相続・医療法人設立・建設業許可・会社設立などのご相談を承っております!