お役立ちコラム

これを読めばスッキリ!配偶者居住権に関するよくある質問

1. はじめに:配偶者居住権とは? ~大切な住まいを守る新しい権利~

「もしも、夫に先立たれたら…。」「妻が亡くなった後、この家に一人で住み続けられるのだろうか…。」

人生のパートナーと築き上げた我が家。愛する人が亡くなった後も、住み慣れた家で思い出と共に暮らしたいと願うのは当然のことです。

しかし、現実には、相続によって家が売却されたり、他の相続人と住むことを余儀なくされたりするケースも少なくありません。

そんな不安を解消してくれるのが、**「配偶者居住権」**という新しい権利です。

配偶者居住権とは、簡単に言うと、**「夫婦の一方が亡くなった後、残された配偶者が、住み慣れた家に住み続けることができる権利」**のこと。

例えば、夫が亡くなり、家が夫の兄弟と妻の共有になったとします。

従来であれば、妻は兄弟の同意なしに家を売却したり、自由にリフォームしたりすることができませんでした。

しかし、配偶者居住権を設定しておけば、妻は兄弟の同意を得ることなく、自分の意志で家に住み続けることができるのです。

2. 配偶者居住権で得られる3つのメリット

配偶者居住権には、大きく分けて以下の3つのメリットがあります。

  • メリット1:住み慣れた家に住み続けられる安心感

何よりも大きなメリットは、住み慣れた環境で、安心して生活を続けられることです。

高齢になればなるほど、新しい環境に適応することは難しくなります。

配偶者居住権があれば、慣れ親しんだ場所で、大切な思い出と共に、穏やかな老後を過ごすことができるでしょう。

  • メリット2:経済的な負担軽減

配偶者を亡くした後は、収入が減ったり、医療費や介護費用などの支出が増えたりと、経済的な負担が大きくなりがちです。

配偶者居住権があれば、住居費の負担を軽減することができます。

また、家を売却する必要がないため、新たな住居を探す手間や費用もかかりません。

  • メリット3:相続争いのリスク軽減

相続では、遺産分割をめぐって、相続人同士でトラブルになるケースも少なくありません。

配偶者居住権を設定しておけば、住居に関する相続争いを未然に防ぐことができます。

特に、子供がいない夫婦や、再婚同士の夫婦の場合には、配偶者居住権が有効な手段となります。

3. 配偶者居住権にはどんな種類がある?

配偶者居住権には、「普通の配偶者居住権」と「短期配偶者居住権」の2種類があります。

普通の配偶者居住権は、配偶者が亡くなるまで、または遺言や遺産分割協議で定めた期間、住み続けることができる権利です。

一方、短期配偶者居住権は、遺産分割が終了するまで、または配偶者が亡くなってから6ヶ月間、住み続けることができる権利です。

短期配偶者居住権は、遺産分割協議が長引いた場合でも、一定期間は住居を確保できるという点で大きなメリットがあります。

どちらの配偶者居住権を設定するかは、個々の状況に合わせて選択する必要があります。

4. あなたは該当する?配偶者居住権を取得できる条件

配偶者居住権を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 婚姻関係: 被相続人と法的に婚姻関係にあること
  • 居住状況: 相続開始時に、被相続人が所有する建物に一緒に住んでいたこと
  • 建物の所有形態: 被相続人が単独で所有している、または被相続人と配偶者が共有している建物であること

例えば、夫婦が別居していたり、被相続人が賃貸住宅に住んでいた場合は、配偶者居住権を取得することはできません。

また、建物の所有者が被相続人の親族など、第三者である場合も取得できません。

5. 配偶者居住権を設定する方法と注意点

配偶者居住権を設定するには、主に以下の3つの方法があります。

  • 遺言: 被相続人が遺言で配偶者居住権を設定する方法
  • 遺産分割協議: 相続人全員で話し合って、配偶者居住権を設定する方法
  • 調停: 家庭裁判所の調停で、配偶者居住権を設定する方法

遺言で設定する場合は、被相続人の意思が明確に示されるため、後のトラブルを防止することができます。

遺産分割協議で設定する場合は、相続人全員の合意が必要となります。

調停は、相続人同士で話し合いがつかない場合に利用する方法です。

いずれの方法で設定する場合でも、専門家である行政書士に相談することをおすすめします

行政書士は、配偶者居住権に関する専門知識を持っており、手続きをスムーズに進めることができます。

6. 配偶者居住権に関するよくある質問

Q1. 配偶者居住権を設定するには、費用はどのくらいかかりますか?

A1. 設定方法や手続きの内容によって異なりますが、遺言で設定する場合には、遺言書作成費用や検認費用などがかかります。遺産分割協議で設定する場合には、協議書作成費用や登記費用などがかかります。

Q2. 配偶者居住権の期間は、どのように決められますか?

A2. 遺言や遺産分割協議で自由に決めることができます。配偶者が亡くなるまでとすることもできますし、10年、20年などのように期間を定めることもできます。

Q3. 配偶者居住権を設定すると、税金はどうなりますか?

A3. 配偶者居住権は、相続税の対象となります。ただし、一定の控除が認められています。

Q4. 配偶者居住権と相続放棄は、両立できますか?

A4. はい、両立できます。配偶者居住権を設定した上で、他の相続財産については相続放棄をすることができます。

7. まとめ:配偶者居住権で、安心の老後を!

配偶者居住権は、残された配偶者の生活を守るための、非常に有効な制度です。

住み慣れた家で、安心して老後を過ごしたい方は、ぜひ配偶者居住権の利用を検討してみてください。

 

行政書士なかじま法務事務所は、東京都台東区に拠点を置く、相続・遺言書作成を専門とする行政書士事務所です。長年の経験と実績に基づいた丁寧なサポートを提供することで、お客様の不安を解消し、安心できる未来を創造することを目指しています。

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