10.272023
会社設立の流れと費用|電子定款・事業目的・許認可の注意点

はじめに
会社を設立したいと思っても、
「株式会社と合同会社のどちらを選べばよいのか」
「どのような書類や費用が必要なのか」
「許認可が必要な事業では、何に注意すればよいのか」
など、分からないことが多いのではないでしょうか。
会社設立では、会社名や所在地を決めるだけでなく、定款の作成、資本金の払込み、法務局への登記申請などを順番に進めます。
また、設立後に建設業、宅地建物取引業、古物商、運送業などの許認可を取得する場合は、設立段階から事業目的や資本金、役員構成などを検討しておくことが重要です。
この記事では、株式会社・合同会社を設立する一般的な流れ、必要な費用、行政書士へ依頼できる業務について解説します。
会社設立の一般的な流れ
会社設立は、一般的に次の順序で進めます。
- 株式会社・合同会社などの形態を選ぶ
- 商号・所在地・事業目的などを決める
- 定款を作成する
- 株式会社の場合は定款認証を受ける
- 資本金を払い込む
- 法務局へ設立登記を申請する
- 税務署などへ設立後の届出を行う
- 必要に応じて許認可を申請する
必要な期間は、会社の機関設計、定款内容、関係者の人数、必要書類の準備状況、公証役場や法務局の処理状況などによって異なります。
設立希望日が決まっている場合は、余裕を持って準備を始めることをおすすめします。
1.株式会社と合同会社のどちらを選ぶか
会社設立では、最初に会社の形態を決めます。
中小企業や個人事業からの法人化では、株式会社または合同会社が選ばれることが多くなっています。
株式会社
株式会社では、会社へ出資する「株主」と、会社を経営する「取締役」を設けます。
小規模な会社では、同じ人が株主と取締役を兼ねることもできます。
株式会社には、一般的に次のような特徴があります。
- 社会的に広く認知されている
- 株式による資金調達が可能
- 将来的に外部からの出資を受けやすい
- 定款について公証人の認証が必要
- 合同会社より設立時の法定費用が高い
合同会社
合同会社は、出資者である社員が原則として会社の経営にも関与する会社形態です。
一般的に次のような特徴があります。
- 株式会社より設立費用を抑えやすい
- 定款の公証人による認証が不要
- 利益配分や経営方法について比較的柔軟に定められる
- 株式会社と比べると、会社形態としての認知度が低い場合がある
どちらが適しているかは、設立費用だけでなく、取引先、資金調達、出資者、将来の事業展開などを踏まえて判断する必要があります。
2.会社設立前に決める主な事項
会社の形態を決めたら、定款や登記申請に必要となる基本事項を整理します。
商号
商号とは会社名のことです。
株式会社の場合は「株式会社」、合同会社の場合は「合同会社」という文字を商号に含めます。
同一の本店所在地に同一の商号を登記することはできません。また、既存企業の名称や登録商標との関係で問題が生じる可能性もあるため、事前に確認しておくことが大切です。
本店所在地
会社の本店を置く住所を決めます。
自宅や賃貸事務所を本店とする場合は、賃貸借契約や管理規約により法人登記や事業利用が制限されていないか確認しましょう。
許認可を取得する場合は、登記ができるだけでなく、その許認可の営業所・事務所要件を満たす必要があります。
事業目的
事業目的は、その会社が行う事業内容を示すものです。
現在行う事業だけでなく、近い将来に開始する可能性が高い事業も検討します。ただし、事業目的を必要以上に増やすと会社の事業内容が分かりにくくなるため、将来性と具体性のバランスが重要です。
資本金
株式会社・合同会社とも、制度上は少額の資本金でも設立できます。
しかし、実際には次の点を考慮して金額を決める必要があります。
- 設立後の運転資金
- 事務所や設備の初期費用
- 取引先や金融機関からの見え方
- 融資の予定
- 許認可における財産的基礎の要件
- 消費税など税務上の取扱い
一律に「100万円以上が適切」とはいえません。予定している事業と必要資金を確認し、必要に応じて税理士などへ相談して決めることが重要です。
事業年度
会社の決算月を決めます。
繁忙期、売上が発生する時期、設立時期、税務申告の負担などを考慮します。
事業年度は税務にも関係するため、設立前に税理士へ相談することも有効です。
出資者と役員
株式会社では発起人・株主・取締役などを、合同会社では社員・業務執行社員・代表社員などを決めます。
複数人で会社を設立する場合は、出資割合、意思決定方法、利益配分、役員報酬、退任時の取扱いなども十分に話し合っておく必要があります。
3.定款を作成する
定款は、会社の目的、商号、所在地、組織、意思決定方法などを定める基本的な規則です。
定款に記載する事項は、大きく次の3つに分かれます。
絶対的記載事項
記載がなければ定款が有効に成立しない事項です。
株式会社では、主に次の事項が該当します。
- 目的
- 商号
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名または名称及び住所
なお、発行可能株式総数は、必ずしも原始定款の絶対的記載事項ではありませんが、株式会社の成立時までに定める必要があります。
相対的記載事項
定款に記載しなければ、その効力が認められない事項です。
例えば、次のような事項があります。
- 株式譲渡制限
- 現物出資
- 株主名簿管理人
- 取締役会や監査役などの機関設計
- 株主総会の招集に関する事項
- 役員の任期に関する一定の定め
任意的記載事項
法令に違反しない範囲で、会社が任意に記載できる事項です。
事業年度、役員の員数、株主総会の議長などが考えられます。
定款は会社設立時だけでなく、設立後の会社運営にも影響します。ひな型をそのまま使用するのではなく、会社の規模や将来計画に合わせて作成することが大切です。
4.株式会社では定款認証を受ける
株式会社の定款は、公証人による認証を受けなければなりません。
原則として、本店所在地を管轄する法務局または地方法務局に所属する公証人が認証を行います。
合同会社の定款には、公証人による認証は必要ありません。
電子定款を利用するメリット
紙の定款原本には、原則として4万円の収入印紙が必要です。
一方、電子データで作成し、所定の方法で電子署名をした電子定款には、この4万円の収入印紙がかかりません。
ただし、電子定款を作成するには、電子署名やオンライン申請に対応した環境が必要です。
行政書士は、登記申請を除く法人設立手続の支援や、電子定款の作成代理を行うことができます。
5.資本金を払い込む
会社の設立前には、定めた資本金を払い込みます。
設立前の会社にはまだ法人口座がないため、通常は発起人または社員の個人口座など、設立手続に応じた口座を使用します。
払込み後は、通帳の写しや取引明細などをもとに、払込みがあったことを証明する書類を作成します。
払込方法や必要資料は、会社形態や手続方法によって異なる場合があるため、事前に司法書士などへ確認しておくと安心です。
6.法務局へ設立登記を申請する
定款の作成・認証や資本金の払込みなどが完了したら、本店所在地を管轄する法務局へ設立登記を申請します。
登記申請日が、原則として会社の設立日になります。
なお、設立登記の申請代理は司法書士の業務です。
行政書士なかじま法務事務所では、必要に応じて司法書士と連携し、定款作成から設立登記まで手続きが円滑に進むようサポートします。
7.会社設立後に必要な手続き
会社は、登記が完了すればすべての手続きが終わるわけではありません。
設立後には、会社の状況に応じて次のような手続きが必要になります。
- 税務署・都道府県税事務所・市区町村への届出
- 年金事務所への社会保険関係の届出
- 労働基準監督署・ハローワークへの届出
- 法人口座の開設
- 会計・給与計算体制の整備
- 許認可の申請
税務申告は税理士、登記申請は司法書士、社会保険・労働保険の手続きは社会保険労務士の業務となるため、必要に応じて各専門家と連携します。
会社設立にかかる主な法定費用
会社設立時の主な法定費用は、次のとおりです。
| 費用 | 株式会社 | 合同会社 |
|---|---|---|
| 紙定款の収入印紙 | 原則4万円 | 原則4万円 |
| 電子定款の収入印紙 | 不要 | 不要 |
| 定款認証手数料 | 原則1万5,000円・3万円・4万円・5万円のいずれか | 不要 |
| 定款謄本等の費用 | 別途必要 | 不要 |
| 設立登記の登録免許税 | 資本金の額×0.7%、最低15万円 | 資本金の額×0.7%、最低6万円 |
株式会社の定款認証手数料は、資本金等の額や発起人・機関設計などの条件によって異なります。
このほか、印鑑作成費、証明書取得費、行政書士・司法書士等へ依頼する場合の報酬などが発生します。
許認可が必要な事業では設立前の確認が重要です
会社設立後に許認可を取得する予定がある場合は、設立前に許認可の要件を確認しておくことが重要です。
例えば、次のような事業では許可・免許・登録・届出などが必要になる場合があります。
- 建設業
- 宅地建物取引業
- 古物営業
- 飲食店営業
- 運送業
- 旅行業
- 産業廃棄物収集運搬業
- 有料職業紹介事業
- 労働者派遣事業
許認可によっては、次の事項が審査に関係します。
- 定款や登記上の事業目的
- 資本金や純資産
- 常勤役員や資格者
- 営業所・事務所の構造
- 欠格要件
- 実務経験
- 専任性
事業目的の表現が許認可の内容に対応していない場合は、目的変更の登記が必要になることがあります。
ただし、事業目的の記載方法や審査上の取扱いは、許認可の種類や申請先によって異なります。「一字一句決められた文言でなければ許可されない」とは限りませんが、申請先の運用も含めて事前に確認することが安全です。
新しい事業形態や複数の制度が関係し、通常の許認可確認だけでは結論を出せない場合には、複雑な行政手続の制度調査・検討サポートとして、必要な制度や行政機関の取扱いを個別に調査します。
会社設立を専門家へ依頼するメリット
会社設立はご自身で行うこともできます。
一方で、専門家へ依頼することで、次のような負担を軽減できます。
- 会社形態や基本事項の整理
- 定款の作成
- 電子定款による印紙代の削減
- 公証役場との調整
- 許認可を見据えた事業目的の検討
- 司法書士との連携
- 設立後に必要となる許認可申請
特に、設立後すぐに許認可が必要となる場合は、会社を設立してから相談するのではなく、基本事項を決める段階で行政書士へ相談することをおすすめします。
会社設立・許認可申請をご検討中の方へ
行政書士なかじま法務事務所では、株式会社・合同会社の定款作成、電子定款、許認可を見据えた事業目的の検討など、会社設立の準備をサポートしております。
登記申請については司法書士と連携し、会社設立後に必要となる許認可申請についても、ご依頼内容に応じて対応いたします。
「株式会社と合同会社のどちらがよいか分からない」
「設立後に許認可を取得できるか確認したい」
「定款作成から専門家へ依頼したい」
という段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。
東京都台東区で「お困りごとを解決する」行政書士をしております。
医療法人設立サポート、遺言・相続などのご相談を承っております!

