お役立ちコラム
7.92023
契約書を作成する際によく使われる条項について分かりやすく解説
契約書では種類が違っても同じような条項が使われることがあり、馴染みのない方には分かりにくいものも含まれています。正しく作成・レビューするために、よく使われる契約書の条項について、分かりやすく解説します。
1.秘密保持
契約を行う際には、相互に自社の情報を開示することがあります。そのため、お互いに開示した情報は、外部(第三者)に開示しないことを約束するのが一般的です。
ただし、もともと守秘義務を負う専門家等(弁護士、公認会計士、税理士等)に開示する必要性がある場合には、例外として規定をおくこともあります。
また、もともと自社で有していた情報や、既に公にしられている情報であれば、秘密保持の対象とする必要はありません。適用を除外する情報を列挙して明示しておくことが通常です。
2.権利の譲渡等の禁止
契約は、相手方を信用して締結されます。そのため契約上の地位、権利や義務を譲渡することを禁止することが一般的に行われています。
しかしながら、民法466条2項では、当事者が債権の譲渡を制限したときであっても、債権の譲渡の効力は有効とされています。そのうえで、民法466条3項では、債権の譲受人がその譲渡制限について悪意または重過失であった場合には、債務者は譲受人からの履行を拒むことができ、かつ譲渡人に対する弁済等をもって譲受人に対抗できるとされています。
したがって、譲渡禁止の条項は、悪意または重過失の譲受人に対抗するために重要な意味を持ちます。
3.解除
解除とは、契約の終了に関する規定です。「どのような場合に契約を解除いて終了させることができるのか?」を規定して定めます。
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無催告解除
民法上も、相手方が義務の履行を遅滞している場合や、その履行が不能になった場合に、契約を解除することができます。
契約書においても、あらかじめ条項化しておくことが通常です。
また、民法で決められていること以外でも、契約書で定めることができます。たとえば、相手方が営業停止処分を受けた場合や、支払い状況が悪化したときなどです。このようなときは、一刻も早く解除できる方が有利です。 -
催告解除
契約上の義務に違反した場合において、是正を求めてそれでも違反状態が是正されないときは解除できる旨をさだめた規定です。
4.期限の利益の喪失
期限の利益とは、義務の履行が将来に定められている場合の時間的な利益のことを意味します。(借金の返済・請負契約の完成・売買契約の引き渡しなど)
解除の条項にあるような、待ったなしの状態が生じた場合は、期限の利益を維持させておく理由はありません。
民法においても、期限の利益を失う旨の規定が設けられておりますが、その他の事由が網羅されているわけではないので、契約書に定めておくことが通常です。
解除の条項とセットで引用する方法で規定されていることが多いです。
5.反社会的勢力の排除
反社会的勢力の排とは、暴力団当の反社会的勢力の排除に関する規定です。
この条項を盛り込むことは、政府の指針や各都道府県の暴力団排除条例に沿うものであり、自社を守る上で非常に重要です。
6.損害賠償
契約上の義務に違反し、それが自己の責任にある場合には、それによって生じた相手方の損害賠償をしなければなりません。
7.不可抗力免責
当事者の責任とはいえない不可抗力によって、債務の履行が遅滞した場合や不能になった場合に責任が免除されることを定めます。
民法では金銭債務については、不可抗力免責を受けませんので、契約書でも同様に定めておくことが一般的です。
8.残存条項
残存条項とは、契約終了後の効力存続規定です。
契約が解除や期間満了等により終了した場合、契約で定められた条項h効力を持たないのが原則となります。
しかし、秘密保持に関する条項などは、契約終了後においても引き続き効力を維持させた方が望ましいです。
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