お役立ちコラム
2.92024
認知症による 口座凍結 の不安を解消!家族信託で大切な人を守ろう
最近、ご家族が認知症と診断された方から「 口座凍結 されてしまった」「生活費が引き出せない」といったご相談をよく受けます。
認知症になると、判断能力が低下し、本人の意思で預貯金口座を管理することが難しくなる場合があります。そうなると、銀行は本人保護のため、口座を凍結してしまうことがあります。
口座凍結は、生活費の支払いなど、日常生活に大きな支障をきたします。しかし、事前に対策をしておけば、口座凍結を防ぐことができます。
そこで、今回は、認知症による口座凍結を防ぐための有効な手段として、「家族信託」について詳しく解説します。
認知症と 口座凍結
銀行は、預金者の判断能力が低下していると判断した場合、預金者の保護のために口座を凍結することができます。
口座凍結 の主な原因
- 認知症と診断された
- 高齢で判断能力が低下している
- 不審な取引が見られる
口座凍結 の影響
- 預金を引き出すことができなくなる
- 振込や公共料金の支払いなどができなくなる
- 日常生活に支障をきたす
口座凍結 の対処法
口座凍結を解除するには、以下の方法があります。
①法定後見制度
-
法定後見制度は、判断能力が十分にない人のために、財産管理や日常生活支援を行う制度です。メリットとデメリットを分かりやすく説明します。
メリット
- 本人の権利利益を守れる
- 悪徳商法や詐欺から本人の財産を守ることができます。
- 不適切な契約を取消したり、取り消せる可能性があります。
- 本人の意思に沿った生活支援を受けられます。
- 周囲の人への負担を軽減できる
- 本人の財産管理や生活支援を、家族や親族が一人で抱える必要はありません。
- 専門的な知識を持つ後見人がサポートしてくれるので、安心です。
- 公的な制度なので安心
- 家庭裁判所が監督しているので、不正行為を防ぐことができます。
- 後見人の活動は定期的に報告され、透明性が確保されています。
デメリット
- 手続きが煩雑
- 申立てから選任まで時間がかかります。
- 必要書類も多く、準備が大変です。
- 費用がかかる
- 後見人には報酬が支払われます。
- 裁判所への申立て費用や書類作成費用も必要です。
- 本人の意思が制限される
- 判断能力が低下している場合は、本人の意思が尊重されない場合があります。
- 後見人の判断に委ねられることが多くなります。
- 本人の権利利益を守れる
②任意後見制度
任意後見制度は、将来判断能力が低下した時に備えて、元気なうちに任意後見人と契約を結び、支援を受けることができる制度です。メリットとデメリットを分かりやすく説明します。
メリット
- 本人の意思を尊重できる
- 任意後見人は、本人の意思を尊重して支援を行います。
- 本人と任意後見人が事前に話し合い、契約内容を決められるので、希望に沿った支援を受けられます。
- 将来の不安を解消できる
- 将来、判断能力が低下しても、生活や財産管理を安心して任せられます。
- 本人だけでなく、家族や親族の不安も軽減できます。
- 柔軟な支援を受けられる
- 本人の状況やニーズに合わせて、支援内容を柔軟に変更できます。
- 軽度な支援から、財産管理や日常生活支援まで、幅広い支援を受けられます。
デメリット
- 法的な効力が弱い
- 任意後見人には、法定後見人ほどの権限がありません。
- 悪徳商法や詐欺被害を防ぐ効果は限定的です。
- 本人の意思に反する契約を取消すことができない場合があります。
- 任意後見人の負担が大きい
- 任意後見人は、本人の意思を尊重しながら、責任を持って支援を行う必要があります。
- 専門的な知識や経験が必要になる場合があります。
③家族信託
本人が財産を信託契約に基づいて信託者に託し、受託者が本人のために財産を管理する仕組みです。
メリット
- 本人の意思を尊重できる
- 柔軟な財産管理が可能
- 認知症になっても口座凍結されない
デメリット
- 信託契約の締結に費用がかかる
- 専門的な知識が必要
家族信託とは?
家族信託は、認知症による口座凍結を防ぐために有効な手段として注目されています。
家族信託とは、
- 委託者(財産所有者)が、
- 受託者(信頼できる家族など)に、
- 財産の管理を託す契約
です。
家族信託を締結しておけば、
- 委託者が認知症になっても、受託者が財産を管理
- 銀行口座の凍結を回避
- 本人の意思に沿った財産管理
が可能になります。
家族信託の費用
家族信託の費用は、契約書作成費用、信託登記費用、報酬などによって構成されます。
費用は、信託する財産の額や複雑性によって異なりますが、一般的には30万円~100万円程度です。
家族信託の具体例
例1:認知症の母親の預貯金口座を管理
80代の母親が認知症と診断された。母親は一人暮らしをしており、預貯金口座から生活費を引き出すことが困難になった。そこで、息子が受託者となり、家族信託契約を締結。母親の預貯金口座を信託財産に移転し、息子が母親の生活費を支払い、口座を管理することになった。
例2:認知症の父親の自宅を売却
70代の父親が認知症と診断された。父親は自宅に住み続けていたが、介護が必要となり、自宅を売却して介護施設に入所することが必要になった。しかし、父親は判断能力が低下していたため、自ら自宅を売却することができなかった。そこで、娘が受託者となり、家族信託契約を締結。父親の自宅を信託財産に移転し、娘が父親の代わりに自宅を売却して、介護費用に充てることになった。
まとめ
家族信託は、認知症による口座凍結を防ぎ、大切な人の財産を守る有効な手段です。
費用はかかりますが、専門家のサポートを受けながら、自分に合った対策を検討することが重要です。
台東区の行政書士なかじま法務事務所は、家族信託に関する豊富な経験と知識を有しています。
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